中国外相がミャンマー訪問、対立勢力との対話促す
(CNN) 中国の王毅(ワンイー)外相が5日までにミャンマー入りし、クーデターで権力を掌握した国軍幹部に対立勢力との対話を促した。暴力の拡大や人権状況の悪化が続く同国の情勢には国際社会から懸念の声が上がっている。
王氏は昨年2月のクーデター発生後初めて同国を訪問した。ミャンマー国軍のミンアウンフライン最高司令官が2020年に習近平(シーチンピン)国家主席と会談して以来、中国から訪れる当局者としては最高位となる。
王氏は外務省が発表した声明で「ミャンマーのすべての当事者に対して、憲法や法的な枠組みの中で政治的対話に参加し、民主制移行のプロセスを再開するように促す」と述べ、同国の「政治的、社会的安定」に期待を示した。
さらに「我々はミャンマーの経済を復興し、人々の生活を向上させ、草の根レベルの人々の権利と利益を確保する同国の取り組みを共に支援していく」とも述べた。
王氏は3日に中部バガンの空港に到着し、軍幹部や当局者の出迎えを受けた。カンボジア、ベトナム、タイ、ラオスなど周辺諸国の外相が出席する会議に参加するが、ミンアウンフライン氏との会談が組まれているかは不明。
中国はミャンマーを現在支援する少ない国の一つで、民主化指導者アウンサンスーチー氏を追放した21年のクーデターに対する非難も拒んだ。今年4月には、クーデターを起こした国軍幹部への支援を「どんなに状況が変わろうとも」行うと約束した。
中国はミャンマーの最大の貿易相手国。天然資源が豊富な同国の鉱業や石油、天然ガスの開発に数十億ドルを投資している。国連によると、ロシアとともに国軍に武器も供給している。
ミャンマーではスーチー氏の拘束が続くほか、民主活動家と国民民主連盟(NLD)の議員の死刑執行の計画が伝えられ、国連からは「生命、自由、身体の安全の権利のあからさまな違反」に当たるとして非難されている。