ウクライナとロシア、黒海港湾からの穀物輸出再開で合意 国連トップ
(CNN) 国連のグテーレス事務総長は22日、ウクライナとロシアが黒海沿岸のウクライナの港から穀物輸出を再開することで合意したと明らかにした。ウクライナ戦争をきっかけとする世界的な食料危機の緩和に向け、外交的な突破口が開けたとしている。
合意は国連とトルコが仲介し、ウクライナとロシアの閣僚がトルコのイスタンブールで署名した。
交渉は数カ月にわたり続き、ウクライナの重要な輸出品である穀物や油糧種子の安全な通過を可能にするため、黒海の港湾封鎖を解除するとの約束がたびたび発表されてきた。
ロシアは黒海の港湾へのアクセスを妨害しており、数百万トンに上るウクライナの穀物がそれに依存する多くの国に輸出されない状態にある。
グテーレス氏は「きょう、黒海に灯がともった。希望の灯であり可能性の灯、救済の灯だ。世界はかつてなくそうした灯を必要としている」と述べた。
また、今回の合意が発展途上国に救済をもたらし、世界の食料価格の安定につながるだろうと説明。食料価格は戦争の前から記録的な高騰を見せており、発展途上国にとってはまさに悪夢だったと指摘した。
世界食糧計画(WFP)の推計では、ウクライナ戦争の結果、新たに4700万人が急性飢餓の状況に陥った。欧米の当局者からは、ロシアが食料を武器として利用していると非難する声が上がっている。
今回の合意により、ロシア産肥料の輸出も制限されなくなる。ロシアは食料生産の最大化に欠かせない肥料の主要生産国であり、肥料価格は侵攻開始以降に急騰している。
トルコのエルドアン大統領は合意の結果、「何百万人もの人々が飢餓の危機から救われるだろう」と歓迎。近日中に船の出入りが始まるとの見方も示した。