ザポリージャ原発を砲撃、ウクライナとロシアが相互非難
(CNN) ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは5日、ロシア軍がウクライナ中南部ザポリージャ州にある欧州最大級のザポリージャ原子力発電所周辺を同日砲撃し、発電所が損傷して近くにあるエネルゴダール市内の大半が停電に見舞われたと報告した。
取水施設の機能にも問題が起き、市内への給水が止まったと述べた。
エネルゴアトムはさらに、ロシア軍はロケット弾を同原発の敷地内に撃ち込んだともSNS上で主張。3発が着弾し、1発は原子炉が位置する発電機の1基近くを襲ったとした。火災発生の危険があるとしながらも、現段階で負傷者の発生の情報はないとした。
同原発のウクライナ人職員が現場で放射線などの安全管理を確保し、被害の波及を封じるための全ての措置を講じていると述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領もエネルゴアトム社の主張に沿って、「占領者たちは欧州の全員にとって極めて危険な状況を新たに作り出した」と非難。映像の声明で「彼らはザポリージャ州原発を砲撃した」と弾劾した。
一方、ロシア国防省は、ロシア軍は今回の砲撃に関与しておらず、ウクライナ軍の攻撃と主張した。
ロシアはウクライナ侵攻の初期の段階で同原発を占拠。エネルゴアトムによると、3月12日にはロシアの国営原子力企業「ロスアトム」の職員や技術者らが到着し、原発運営や修理の支援などに当たった。
これ以降、ウクライナとロシアの「共同運営」とも言えるような事態も起きている。同原発と国際原子力機関(IAEA)との間の連絡も断続的で、原発敷地内の正確な状況も把握しきれていないのが実情となっている。
ロシア軍が原発をウクライナへの攻撃拠点に用いているとの指摘もあるが、これを疑問視する西側の見方もある。IAEAのグロッシ事務局長は2日、米AP通信の取材に同原発内の状況は「全く制御不能の状態にある」との危機感も表明していた。