ウクライナ・ザポリージャ原発、内部の様子は 核惨事の懸念も
原子力発電所を運営する国営企業「エネルゴアトム」は11日、「放射線源」の保管場所を狙って発電所近辺の消防署を爆撃したロシアを非難した。同社は翌日、テレグラムに声明を発表し、発電所は「放射線の安全基準や防火基準に違反するリスクを抱えながら」運転を継続していると述べた。
ウクライナのデニス・モナスティルスキー内相は12日、発電所は「適切にコントロールされていない」と語った。施設内に残っているウクライナ人技術者も、本来アクセスできるはずの場所に立ち入りできないでいるという。
CNNはエネルゴアトム社とモナスティルスキー内相が語った内容を確認できていない。だがグロッシ事務局長も言っているように、発電所の一部は運転継続が不可能な状態だ。オルガさんも、施設内にはウクライナ人スタッフの立ち入りを禁止した場所があることを認めた。
ロシアはウクライナが攻撃の首謀者だと非難を続けている。占領行政府の地元職員ウラジーミル・ロゴフ氏が12日、ロシアの国営放送局「ロシア24」に出演し、発電所の伝送経路が「頻繁に損傷している」と述べ、「運転停止」の可能性を示唆した。だが原因についての説明は一切なかった。
ウクライナ当局の話では、先週にかけて原子力発電所からロシアのロケット弾が発射され、ドニプロ川右岸のニコポリ市や周辺地域に大打撃を与えたという。地元職員によれば、9日深夜の爆撃では少なくとも13人が死亡。さらに10日から11日夜にかけて、13歳の少女を含む複数が負傷したという。
この数カ月、オルガさんもロシア軍の兵器が発電所内に搬入されるのを目撃したと語った。ただし、現在はその大半が目の届かない場所に隠されている。「最初のうち、兵器は発電所の敷地内に置かれていた。今ではもっとたくさんの兵器がある」とオルガさんは言い、従業員は保管場所に入れないと付け加えた。
だが仕事から帰宅すると、ロシアの火力がはっきりするという。「恐怖は夜にやってくる。やつらは街をひたすら爆撃している」(オルガさん)
「(川の)右岸に着弾する音があまりにも響くので、家が揺れ、窓が振動するほどだ。人々が寝静まっている静かな夜に、恐ろしくなる」とオルガさんは続けた。
ドニプロ川の対岸ニコポリでも、攻撃は情け容赦なく伝わってくる。
街の港付近に住む自営業のオクサナ・ミラエフスカさん(45)が自宅の窓から対岸を眺めると、向かってくる砲弾の嵐が見てとれる。