パキスタン洪水の死者1282人に、3分の1は子ども
(CNN) パキスタン国家災害対策当局は、記録的な洪水による6月14日~9月3日までの死者が1282人に達したことを明らかにした。人道支援団体は、長期的な支援が必要になるとの見通しを示している。
洪水による犠牲者のほぼ3分の1は子どもだった。3日だけでも57人が死亡し、うち25人を子どもが占めていた。
パキスタンは、モンスーンの記録的な大雨に、北部の山間部の氷河融解が追い打ちをかけ、同国史上最悪といわれる洪水に見舞われている。人道支援団体は、まだ危機を脱したわけではないと指摘する。
欧州宇宙機関(ESA)の衛星画像によると、一時は国土の3分の1以上が水に浸かり、政府や支援団体によれば3300万人が被災した。
国連児童基金(UNICEF=ユニセフ)によると、このうち300万人以上の子どもが水を原因とする疾患や水死、栄養不良の危険にさらされ、緊急人道支援を必要としている。学校も全土で1万7566校が洪水によって損壊し、新型コロナウイルスのため2年間あまりも阻まれていた子どもの教育が、さらに困難になっている。
復興には長い時間がかかる見通しで、特に南部のシンド州とバロチスタン州ではインフラなどに大きな被害が出ている。
シャリフ首相は先週、インフラや住宅、農家などに推定100億ドル(約1兆4000億円)以上の被害が出ているとして、国際社会に支援を呼びかけた。
世界保健機関(WHO)は負傷者の手当てや医療施設への物資供給、感染症の拡大防止のため1000万ドルを拠出。中国や英国も支援を表明した。
災害対策当局によると、住宅は100万棟以上が損壊し、道路の被害は少なくとも5000キロに及んでいる。