14歳でラジオ演説 英エリザベス女王の即位までの歩み
(CNN) 在位期間が英国史上最長となり、96歳で亡くなったエリザベス女王は、王と女王が真の政治力を発揮した古典的な時代に生まれた最後の君主の一人として世界中で追悼される。
エリザベス・アレクサンドラ・メアリーは1926年にヨーク公夫妻の第1子として誕生した。
王位継承者となったのは37年に父親のヨーク公が兄のスキャンダラスな退位を受けて国王ジョージ6世として即位した時だった。この出来事はオスカー受賞映画「英国王のスピーチ」やネットフリックスの「ザ・クラウン」でドラマ化された。
第2次世界大戦が勃発すると静かに君主としての資質を高めていった。
1928年のエリザベス王女(当時)。ロンドンの自宅で撮影/Hulton-Deutsch Collection/Corbis/Getty Images
ロンドン大空襲を近くのウィンザー城で生き延び、風変わりだが尊敬されていた教師ヘンリー・マーテンから政体に関する個人指導を受けた。
14歳だった40年に紛争で家を失った子どもたちに向けて初めてラジオ放送で演説を行った。16歳で英陸軍歩兵連隊の名誉大佐に任命された。
初のラジオ放送に妹とともに臨む14歳当時のエリザベス女王(右)=1940年10月13日/AP
45年に将校の制服を着て補助地方義勇軍の救急車のそばに立つ姿が写真に収められている。
戦時中は伝統的な王室生活の制約を越えてある種の自由を得る機会ともなった。
45年に補助地方義勇軍に参加し、4週間にわたり手を油とグリースまみれにさせながら軍用車両の運転と整備を学んだ。
制服姿で補助地方義勇軍の車両前で撮影=1945年/Keystone/Hulton Royals Collection/Getty Images
欧州で勝利が宣言されると、制服のままバッキンガム宮殿の外で歓喜に沸く群衆に紛れ込んだ。
平時になり、ギリシャとデンマークの王子だったフィリップ公が帰還。海軍将校だったハンサムなフィリップ公は、エリザベス女王がわずか13歳のときに心を射止めた。2人は47年にウェストミンスター寺院で結婚。そのわずか1年後に長男のチャールズ皇太子が誕生した。
ジョージ6世の健康状態が急速に悪化する中、公務を引き受ける機会が増えた。49年には陸軍連隊の年次パレードにジョージ6世に代わって出席する場面もあった。
52年に夫妻でケニアの公式外遊中にジョージ6世の訃報(ふほう)が届き、エリザベス女王は即位した。
戴冠式後にバッキンガム宮殿のバルコニーから群衆に手を振るエリザベス女王とフィリップ殿下=1953年6月2日/Keystone/Hulton Royals Collection/Getty Images