英政府、抗議デモ対応で警察の権限強化へ 民主主義からかけ離れた動きと人権活動家ら
ロンドン(CNN) 英国政府が、警察に新たな権限を与えようとしている。平和的手段で政治的な抗議活動を行う人々に対し、より強力な措置を可能にするのが目的だ。
人権活動家らから言論の自由を抑圧する試みだと非難する声が上がる一方、野党政治家らは問題が山積する国内状況から目を背けさせたいだけだと、政府への批判を展開している。
政府は15日夜の声明の中で、現在議会で可決されようとしている公共秩序法案の修正に言及。同法案を巡っては、抗議活動を抑え込む度合いの観点からすでに大きな議論が巻き起こっている。
法案が具体的に標的としているのは、人種差別への抗議運動「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切だ))」や環境保護団体「エクスティンクション・レベリオン」、「ジャスト・ストップ・オイル」といった団体だ。いずれも政府への抗議に当たり、破壊的な手法をとることで知られる。
法案では、長く行われてきた抗議の手法であるロックオン(抗議者が鎖や手錠で自分の体を建物などに固定すること)やトンネルを掘ることなどが違法となり、定期的に抗議を行う人に対しては電子タグを身に着けさせることができるようになる。新たな修正では警察に権限を与え、何らかの破壊行為が起きる前から抗議活動を中断させるのを可能にする。
スナク首相は「少人数による抗議活動で、一般市民の生活を破壊させるわけにはいかない。そういったことは受け入れられないし、終わりにしなくてはならない」と述べた。
ロンドン警視庁トップのマーク・ローリー氏も声明を出し、警察からは政府に対して抗議活動を抑え込む権限の強化を求めたわけではないと明言した。