解放された地に再び迫るロシア軍、それでも退避拒む住民の思い ウクライナ北東部
ウクライナ・クピャンスク(CNN) 夜になると砲撃が激しくなる。だからリウバさんは夫のセルヘイさんと手を取り合う。そうすれば安全でいられるからとうなずいて見せた。1カ月前、特にひどかったあの夜を経て、残った庭にリウバさんは立っている。
あの砲撃で隣家が破壊され、リウバさんとセルヘイさんはキッチンの床に投げ出された。セルヘイさんは冷蔵庫の下敷きになったが、けがよりも恐怖の方が大きかった。それでも夫婦はここを離れるつもりはないと言う。
「ここは私たちの家だから」とリウバさん。「ロシア人のものではない。それに暖かくなってきているし、バケツから雨水を集めれば生き延びられる」
クピャンスクに最後まで残る住民はリウバさん夫妻を含めて2500人ほどになった。クピャンスクのあるウクライナ北東部ハルキウ州が前線から遠ざかったことは一度もなく、再び戻ってくる恐れもあるとウクライナ政府は見る。
クピャンスク警察のコンスタンティン・タラソフ署長によると、砲撃音は2月半ば以来、徐々に近づきつつある。ロシア軍は今、クピャンスクから約8キロの地点にまで迫る。クピャンスクは侵攻開始後間もなくロシア軍に占拠されたが、ウクライナ軍が反撃に出て昨年9月に奪還していた。