ロシア、インドへ兵器供与の約束守れず ウクライナ侵攻で
(CNN) インド空軍は26日までに、ロシアがインドに示した兵器供与の約束がウクライナ侵攻の影響で守られていないとの現状を明らかにした。
インド国会の下院委員会が公表した報告書の中で空軍の報道担当者が指摘した。兵器の「大半の引き渡し」が果たされていないとし、ロシア側は文書で「提供できない」とも伝えてきたという。
インドの地元メディアではロシアの兵器製造能力の弱点を示唆する報道やうわさが流れていたが、インド当局者がロシア製兵器の輸出の遅延を公式に認めたのは今回が初めて。インドの兵器輸入でロシアは最大の供給国となっており、引き渡しの不履行が両国関係にしこりを残す可能性もある。
報告書は、インドによる引き取りが遅れている兵器の詳細には触れていない。ただ、調達が続いている最大の目玉の兵器はロシアの対空ミサイル「S400トリウームフ」で、インドが2018年に54億米ドルで購入していた。
ロイター通信によると、同ミサイルの3基は既に届いたが、残り2基の到着を待っている段階だという。さらにインド空軍の主力であるスホイ30MKIとミグ29の両戦闘機の補給部品の確保でもロシアに頼っているとした。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、兵器の輸出額でロシアは世界2位。
ロシアのプーチン大統領は今月、ウクライナ侵攻を踏まえ兵器製造能力の一層の拡大を図るための大幅な努力を訴え、「緊急措置」とも位置づけていた。
インドとロシアの緊密な関係は冷戦時代にさかのぼる。インドと国境を接する中国が強硬姿勢を強め、両国関係が緊張を増す中で、ロシアとの関係は重要な意味も帯びている。
インドの首都ニューデリーに拠点があるシンクタンク幹部は、インド空軍がロシアによる兵器供給の約束違反を認めるのは「非常に深刻な事態」と分析。両国関係をかなり長い間悩ませてきた問題を浮き彫りにしたとも説明した。
インドは長年にわたり兵器輸入で多様化を図り、ロシアへの過剰な依存を懸念してきたが、ウクライナ危機はこの課題を解決させる努力を加速させることになると説いた。