冷戦最盛期、中国がU2偵察機5機を撃墜した時代<下> 暗号名「カミソリ」

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韓国・烏山空軍基地の格納庫に駐機するU2「ドラゴンレディー」=2020年10月22日/US Air Force

韓国・烏山空軍基地の格納庫に駐機するU2「ドラゴンレディー」=2020年10月22日/US Air Force

韓国・ソウル(CNN) 「黒猫中隊」でU2に搭乗していた華氏によると、台湾軍と米国側の代表者は中国上空を偵察飛行する作戦に「カミソリ」の暗号名を付けた。

偵察飛行で得られた情報は「素晴らしい」もので、台湾政府と米政府の間で共有されたと、華氏は説明する。

「一連の任務では、それまで航空写真がほとんど撮影されたことがなかった広大な中国内陸部が対象になった。任務のたびに幅約160キロ、長さ約3200キロの範囲を捉えた航空写真地図を持ち帰った。そこには目標の正確な位置のみならず、地上の活動まで写っていた」

U2に搭載された他のセンサーにより、中国のレーダー能力などに関する情報も収集した。

台湾国防部(国防省)によると、1962年1月~74年5月、黒猫中隊は220回の偵察飛行任務を実施。中国本土約30省の1000万平方キロを超える面積をカバーしたとされる。

黒猫中隊についてさらなるコメントを求めたところ、台湾国防部はCNNに公開資料に当たるよう要請した。

「黒猫は夜に出歩くが、U2も通常、暗闇の中を出撃した。U2のカメラは目に当たる。機体は隠密性が高く、静かで、捕捉が難しかった。そこでこの二つの話を組み合わせ、『黒猫中隊』と呼ばれるようになった」。作家のポーコック氏はドキュメンタリーの中でこう語っている。

黒猫中隊には独自の記章まであった。地元にあるパイロット行きつけの施設に着想を得て、隊員の一人だった陳懷生中校が描いたものとされる。

しかし、2年前に旧ソ連によって撃墜されたパワーズ氏の父親と同様、黒猫中隊はやがてU2が対空攻撃に対して無敵ではないことを思い知る。

62年9月9日、陳氏はU2の操縦士として初めて人民解放軍の対空ミサイルで撃墜された。同氏の搭乗機は中国・南昌市上空で任務遂行中に撃墜された。

中国上空で撃墜

その後、人民解放軍はU2への対抗方法を編み出し、黒猫中隊に所属するU2パイロットがさらに3人、中国上空の任務で撃墜されることになった。

「本土の中国人は黒猫中隊がどこに向かって飛んでいるのか、目標は何なのかをレーダーで把握していた。中国はミサイル施設の建設に着手しつつも、それを各地に動かす対策を取った」(ポーコック氏)

「彼らは施設を建設して、しばらくはその場所にとどまるものの、次の偵察機が飛来すると見ると、ミサイルを移動させた。猫とネズミの追いかけごっこ、文字通り黒猫とネズミの追いかけごっこだった。台湾から定期的に飛来する偵察機と、次にどこに向かうかを察知した中国本土の防空部隊の間でいたちごっこが続いた」

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