国連安保理会合、複数の代表者が退席 戦争犯罪容疑のロシア人当局者の発言に抗議
(CNN) 米ニューヨークで5日に開かれた国連安全保障理事会の非公式の会合で、ロシアの当局者の発言中に西側諸国の複数の代表者が退席する一幕があった。当該の当局者はウクライナでの戦争に関する「誤情報」を拡散していると糾弾されており、それに抗議しての退席とみられる。
オンラインで会合に参加したのはロシアで子どもの人権に関わる役職に就くマリヤ・リボワベロワ氏。ロシア政府の求めに応じ、ウクライナの子どもたちを紛争地域から「避難」させる施策について議論することになっていた。ロシアは4月から、国連安全保障理事会の議長国に就任している。
国際刑事裁判所(ICC)は先月、ウクライナの子どもをロシアに強制移送する計画に関与した疑いで、同氏とロシアのプーチン大統領に逮捕状を出していた。強制移送とみられる措置については、CNNをはじめとするメディアがかねて報道している。
米エール大学人道研究所によると、リボワベロワ氏はウクライナの子どもたちの強制移送と養子縁組に最も高度に関与した人物の一人。複数の施設の活用にも関わり、これらの子どもたちをロシアの社会と文化に「統合」しようとしていたという。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は5日の会合に先駆け、ロシアが議長国の立場を利用して誤情報を広めようとするのに反対する考えを表明。リボワベロワ氏については戦争犯罪で起訴されており、ウクライナの子どもたちを祖国からロシアに強制移送する措置に関与した人物だとの見解を示した。
その上で米国は英国と同様に会合のネット配信を停止したと付け加えた。これによりリボワベロワ氏は国際的な舞台で誤情報を広め、自らの「恐ろしい行為」を擁護することができなくなったとした。
リボワベロワ氏の発言中、実際に議場から立ち去ったのは米国、英国、アルバニア、マルタの代表者ら。ロシアのネベンジャ国連大使は退席行為について「ドンバス地方とウクライナの子どもたちの命運に対する無関心がはっきりと見て取れる」と指摘した。