送電網襲ったミサイルやドローンの数は1200余、ウクライナ
(CNN) ウクライナの国営電力企業「ウクルエネルゴ」は8日、同国のエネルギー関連インフラの破壊を狙ってロシア軍が投入したミサイルやドローン(無人機)の数はこれまで1200を超えるとの声明を発表した。
これら攻撃が起きた期間には具体的に触れなかった。
ロシア軍は昨年10月から数百規模のミサイルやドローンを使い、最前線などからは遠く離れた電力関連インフラなどを狙い撃ちにした攻撃を加速させた。住民の数百万人規模への電力、熱源の供給や配水が一時的に止まる被害が生じていた。
同社によると、発射されたミサイル1200発のうち250発が自社の施設に着弾し、ウクライナの主要な送電網の43%に損害が出た。全ての火力発電所や水力発電所も程度の差こそあれ損壊などを被ったとした。
「敵は寒さが最も厳しくなる半年間にこれらインフラを壊滅し電源や熱源を一切奪おうとした」とも非難した。
エネルギー供給網の緊急修理に要した費用については、世界銀行や国連開発計画の推定数字を引用し10億米ドル以上に達するだろうとした。
ウクルエネルゴによると、攻撃で失うなどして補給を強いられた装備品は約500とし、より多くの装備品が海外で製造されウクライナへ送られる予定であることも明らかにした。
一方、英国防省は8日、ウクライナの全体的なエネルギー供給網の大幅な機能不全を狙った2022~23年の冬季におけるロシアの攻撃は失敗した可能性があるとの最新の戦況分析を示した。
声明で、この種の大規模攻撃は今年の3月初旬以降、まれになったと説明。小規模な攻撃は続いているものの供給網が被った被害ははるかに少なくなっているとした。
ウクライナの関連企業は代替の変圧器や他の重要な部品の供給先を見つけ続けているとも指摘。ただ、これら部品の輸送や据え付け作業が後方支援の態勢づくりで大きな試練になっているとも補足した。
英国防省は、ウクライナのエネルギー源の確保は気候が暖かくなると共に改善する可能性があると予測。新たな冬季の到来へ向けた計画作成や準備もおそらく始まったとも推測した。