ウクライナの防空体制、かつてなく強固に ただし鉄壁とはいかず
(CNN) 取材班を乗せた車は標識のない道路を抜け、人里離れた林にできたばかりの小道を通り過ぎる。
「あと少しで着く」。運転手はそう言って合図し、地図上の1点を指し示した。ウクライナ軍から伝えられた場所だ。
角を曲がると、茂みの中にあるドイツ製自走対空砲「ゲパルト」が我々の目の前に現れた。
ロシアがミサイル攻撃を仕掛けたり、イラン製ドローン(無人機)の群れで空を埋め尽くす際には必ず、ゲパルトのような防空システムが生死を左右する役割を果たす。
防空システムはロシアの攻撃目標となることが多く、今回のような取材が認められるのは異例だ。
「目の前に見えるのがゲパルト1A2自走対空砲だ」。運用チームの一人、オレフ氏が教えてくれた。
「砲塔にはエリコン社製の35ミリ砲が2門搭載されている。発射速度は1門あたり毎分550発、合計で毎分1100発に上る」
右がオレフ氏。ウクライナ軍は今や、あらゆるタイプのロシアのミサイルを破壊できると語る/Vasco Cotovio/CNN
このゲパルトはドイツからウクライナ政府に供与された34両のうちの1両で、既に追加供与も約束されている。システムが最初に開発されたのは1970年代。ドイツでは2010年に退役した古い兵器だが、信頼性は高く、ウクライナにとってゲームチェンジャー(戦況を一変させる兵器)となっている。
「この防空システムには、目標を自動的に探知して捕捉し、可能な限り早く破壊する助けとなるコンピューターシステムが搭載されている」とオレフ氏は説明する。
「目標は1個にとどまらず、もしかしたら3~4個かもしれない。我々はそれを一つずつ破壊する必要がある。このため、コンピューターシステムが運用者の仕事を極力簡単にしてくれる」(オレフ氏)