少子化の原因とも批判される大学入試から「キラー問題」排除へ 韓国
韓国・ソウル(CNN) 韓国で子どもを育てるのは楽ではない。乳児がよちよち歩きを始めるころには、多くの親はすでに有名私立幼稚園を探し始めている。
なぜか。子どもが18歳になった時、過酷なことで有名な8時間にわたる「大学修学能力試験(修能<スヌン>)」で優秀な成績を収め、有名大学に入学できるようにするためだ。
だがそこまでたどり着くには金のかかるつらい道のりを歩まねばならず、両親はもちろん子どもにも負担がかかる。専門家や政治家、教師、保護者などあちこちで批判されているこの制度は、教育格差から若者の精神疾患、出生率の低下にいたるまで、様々な問題をはらんでいる。
こうした問題をいくらか解決しようと、韓国政府は先週、大学入試の難易度を下げるという方策を講じ、物議を醸す一歩を踏み出した。
李周浩(イジュホ)教育相は先月26日に行われた記者会見で、いわゆる「キラー問題」を大学修学能力試験(CSAT)から除外すると発表した。
李氏は、こうした評判の悪い難問の中には、公立学校のカリキュラムには盛り込まれていないものもあり、家庭教師のいる生徒に不当な優位性を与えていると述べた。家庭教師をつけるか否かは保護者と生徒の「個人的選択」であるものの、競争が激化しているため、入試でいい点を取るためにはやむを得ないと感じている人も多いとも付け加えた。
李氏は、教育省が「保護者の負担を増大し、結果として教育の公正性を損なう私教育の悪循環を全力で断ち切るよう努める」と約束した。
ひっかけ問題と人生を左右する入試
韓国の若者の生活は、高校入学の時点ですでに学業とCSATの試験日に向けた準備を中心に回っている。試験の日は、世間では天国と地獄の分かれ目とも言われる。
若者が不安を覚えるのも当然だ。「キラー問題」は頭の痛くなるような高度な計算から、つかみどころのない文章問題まで多岐にわたるからだ。
教育省は過去のCSATの問題や模擬試験から、今後試験から除外される問題の例をいくつか発表した。
一例として、合成関数の微分といった複合的な数学概念を組み合わせた問題については、「公立学校の学習内容よりも難解で、受験者に心理的負担をかける可能性がある」としている。他にも、意識を題材にした哲学についての長文を分析せよという問題も例に挙げられていた。
こうした難問に直面し、韓国の生徒のほとんどが個別指導や「ハグォン」と呼ばれる学習塾に通う。通常の学校の授業が終わったら、ハグォンに直行して夜間授業を受け、その後も深夜遅くまで自習するのが一般的だ。