歴史遺産の尖塔、道路拡張工事のため解体 非難噴出 イラク
イラク・バグダッド(CNN) イラク南部のバスラ県で、文化省が歴史遺産とみなす建造300年の尖塔(せんとう)が道路の拡張工事のために破壊され、非難の声が強まっている。
バスラ県知事が14日、テレビのニュース番組で明らかにしたところによると、1727年に建造されたイスラム寺院の尖塔(高さ11メートル)は同日、道路を拡張するために取り壊された。道路の拡張は、同モスク周辺の交通量について苦情が出たことに対応するための措置だった。
解体現場に立ち会った関係者は、尖塔は崩落の危険があったことから公衆の安全のために取り壊されたと説明。都市の成長に伴い交通渋滞が発生する中で、道路の拡張のために必要な措置だったと強調した。
これに対して地元住民や政府当局者からは批判が噴出している。
イラクのアハメド・バドラニ文化相は法的措置を起こす構えを示し、イスラム教のスンニ派とシーア派に介入を呼びかけた。
問題の土地とモスクを所有しているスンニ派の団体は今回の解体について、尖塔を安全に撤去した上で、破壊するのではなく新しいモスクに設置することを取り決めたバスラ県との合意に違反すると訴えている。
CNNの取材に応じたバスラの住民は、歴史ある尖塔が解体されたことに対して市民は「苦痛」を感じていると話し、「解体する代わりに別の解決策を見つけるべきだった」と主張。「遺跡を破壊してしまうイラクと違って、どこの国も自分たちの歴史を保全している」と言い添えた。