スウェーデン大使館にデモ参加者が侵入、コーラン焼却への抗議で イラク首都
(CNN) イラクの首都バグダッドにあるスウェーデン大使館の敷地内に29日、抗議デモの参加者らが侵入した。前日にはスウェーデンで抗議者1人がイスラム教の聖典コーランを焼却するデモを行っていた。
バグダッドでの抗議行動は、イラク国内におけるイスラム教シーア派の強力な指導者、サドル師が命じたもの。サドル師は、バグダッドにいるスウェーデン大使の国外退去も求めている。
ソーシャルメディアに出回った動画には、一部の抗議デモ参加者らが大使館外にあるバリケードに囲まれた壁を乗り越える様子が映っている。彼らが引き上げる前にどれほど建物内に足を踏み入れたのかは不明。
スウェーデン側によると、大使館職員らは無事だという。同国外務省の広報はCNNの取材に電子メールで答え、「状況について詳しい情報をつかんでいる。大使館職員は安全な場所におり、外務省は彼らと通常通り連絡が取れている」と説明した。
イラクの治安当局の関係者はCNNに対し、事案が収束したことを確認した。AFP通信は、抗議デモ参加者らが約15分間施設内にいたと報じた。
28日にはスウェーデンの首都ストックホルムにあるモスクの外で、男性1人がコーランを燃やす抗議行動を行っていた。この様子を捉えた画像によると、通訳を別にすれば抗議に参加したのはこの男性1人のみだった。デモが行われた日は、イスラム教で最も重要な祝日の一つに当たる。
男性はイラク国籍を持ち、5年前にイラクからスウェーデンに移住していた。サドル師は当局に男性を連れ戻すよう要求した。また、言論の自由がイラクと世界に保証されているなら、イスラム教徒は聖典を焼くことに対する見解を表明しなくてはならないと主張。そうした表明は大規模な怒りの抗議を国内のスウェーデン大使館に対して行うことで果たされると述べた。
コーランを焼却する抗議行動についてはイランやクウェートも「挑発的」と非難。イスラム協力機構(OIC)やアラブ連盟、湾岸協力会議(GCC)といった組織も個別にこれを厳しく糾弾している。
28日にはモロッコが、スウェーデンから大使を召還した。またアラブ首長国連邦(UAE)は29日、駐アブダビ・スウェーデン大使を呼び出してコーラン焼却の事案について抗議した。