ハマスではないことを証明しなくてはならないイスラエル在住アラブ人

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アヤ・ナジャメさん(左)といとこのラガン・マスリさん/Ivana Kottasova/CNN

アヤ・ナジャメさん(左)といとこのラガン・マスリさん/Ivana Kottasova/CNN

イスラエル・ハイファ/エルサレム(CNN) アヤ・ナジャメさん(20)はアラブ人のイスラム教徒。幼少期を過ごしたイスラエル北部の港町ハイファでは、文化交流でユダヤ人が通う学校を訪問し、ユダヤ人の生活様式を学んだ。ユダヤ人の生徒も同じように、ナジャメさんの学校を訪問してアラブ人の生活を学んだ。

イスラエルで暮らすアラブ人および永住権を持つアラブ人は、国民全体の20%強にあたるおよそ200万人。イスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区やガザ地区で暮らすパレスチナ人とは明確に区別されるが、かといってひとくくりにすることもできない。

イスラム教徒が大半だが、少数派のキリスト教徒のアラブ人も大勢いる。約150万人がイスラエル市民権を取得しているものの、エルサレム在住者の多くは永住資格しか持っていないため、完全な市民権を与えられているわけではない。アラブ人を自認する者やパレスチナ人を自認する者もいれば、イスラエルやレバノン、シリアに点在するイスラム教の「ドルーズ派」を自認する者もいる。

一部の人々がヘブライ語を流暢(りゅうちょう)に話し、ハイファなどの多民族コミュニティーで暮らしている一方で、隔離された町で暮らす人々はイスラエル当局から差別を受け、まるで2級市民のような扱いを受けていると感じている。兵役の義務は免除されているものの、毎年数百人がイスラエル軍に従軍している。ヨルダン川西岸やガザ地区に家族がいる人も多い。

ハイファはイスラエルの他の地域とは違うとナジャメさんは言う。

「ここではアラブ人もユダヤ人も一緒に暮らしている。一緒に働き、同じ場所に出かける」とナジャメさんはCNNに語った。

「ハイファは一番居心地がいい。ハイファを出たとたん、落ち着かなくなる。上手く言えないが、とにかく落ち着かない感じがする」(ナジャメさん)

アシュラフ・アシュカールさん(35)はアラブ系イスラエル人。ハイファのアラブ人街ワディ・ニスナス地区のレストランで働いている。友人の中にはイスラエル国防軍(IDF)の兵士もいれば、今月パレスチナのイスラム組織ハマスから奇襲された地域の住民もいる。「友人とはいつも話をする。先週もアラブ人の友人が予備役に加わった」とアシュカールさんは言い、イスラエルが自分の母国だと付け加えた。

だが家族の歴史も痛いほど理解している。アシュカールさんの先祖は1948年の第1次中東戦争中、イスラエル軍によってハイファ北部の村イクリットから退避させられた。数週間で家に戻れると言われていたが、結局実現しなかった。イスラエル最高裁判所は退避が違法だとして、イクリット住民の帰郷を認めるよう命じた。しかし、50年代、帰郷が実現する前にIDFが村を壊滅させてしまった。

「自分の居場所がわからないのは複雑な気持ちだ。あまり考えないようにしている」(アシュカールさん)

イスラエル当局によると、今月7日のハマスの奇襲でイスラエルでは1400人以上が死亡した。パレスチナ当局によれば、その後イスラエル軍がガザ地区に激しい空爆を行ったことで4000人以上の死者が出た。かねて一部の間でくすぶっていた緊張が、ここへきて一気に高まった。

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