ハマスではないことを証明しなくてはならないイスラエル在住アラブ人

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ハイファ在住の弁護士ナイム・ホーリーさん/Ivana Kottasova/CNN

ハイファ在住の弁護士ナイム・ホーリーさん/Ivana Kottasova/CNN

昨年12月以来、史上最も右派寄りの政権がイスラエルを統治している。ベンヤミン・ネタニヤフ首相と一部の野党リーダーは11日、戦争に対処すべく緊急の戦時内閣を発足した。イスラエルの国家安全保障相を務めるのは、テロリストを支援してアラブ人差別を扇動したとして有罪判決を受けた過激派のイタマル・ベングビール氏。財務相を務めるのは、パレスチナ自治政府の撲滅とヨルダン川西岸の併合を支持するベザレル・スモトリッチ氏だ。両氏とも戦時内閣には入閣していないが、大臣として今も在職中だ。

イスラエル占領地域の人権問題を扱う情報センター「ベツェレム」によれば、ベングビール氏とスモトリッチ氏の発言は過激派を勢いづかせ、結果として極右団体やイスラエル人入植者を中心としたパレスチナ人への攻撃が増加しているという。国連人道問題調整事務所(OCHA)の報告によると、ヨルダン川西岸では9月中旬時点で、イスラエル人入植者がパレスチナ人を攻撃して負傷者が出たケースが216件、器物損壊が582件報告されているという。

CNNは暴力事件の急増についてIDFにコメントを求めたが、返答は得られなかった。

「入植者は、私たちを付け狙う意思をあからさまにしてきた。全体として、次に狙われるのは自分たちだという気にさせられる雰囲気が漂っている。正直、私たちが次の標的だ」。ハイファ在住のパレスチナ系カナダ人弁護士で、平和交渉の際にパレスチナ側の法務顧問も務めたダイアナ・ブトゥさんはこう語る。

ハマスの奇襲後、パレスチナ人を標的としたヘイトスピーチはさらにエスカレートしたとブトゥさんは言う。ブトゥさんはCNNに「『あいつらは鬼畜だ、始末するべきだ』といった発言を耳にする」と語った。

イスラエル在住のパレスチナ人であるブトゥさんは頭から敵視されていると感じていると語る。ブトゥさんは「鬼畜ではないことを証明する唯一の手段は、まっさきに(テロ行為を)非難すること。私の人間性を証明しなければならない。でも私がユダヤ人に、入植者の暴力行為や攻撃を非難するよう求めたことはない。入植者ではないことを証明しろと言ったことはない」と述べた。

不信な目で見られている感覚は、ハイファ在住の弁護士ナイム・ホーリーさん(39)も実感している。今月の悲劇の余波は、共存の成功例とみられてきたハイファでも感じられるという。

「アラブ人だという理由で、一部の人々から疑いの目で見られる。アラブ人であることは、テロリストと同義だ」とホーリーさんはCNNに語った。「だが我々はテロリストを糾弾する。テロリストのあらゆる行為を非難し、失われたすべての命を追悼する」

軍隊や警察で働くホーリーさんの友人の多くも、やはり同じようにけげんな顔で見られることがあるという。

「ハイファでは、我々はいつも良好な関係を保って共存していこうと努力している。だから、安全保障関連の事件が起きるたびにユダヤ人が無意識に『アラブ人としてどう思う? 君たちは平気なのか?』と尋ねてくるのは非常に残念だ」(ホーリーさん)

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