香港が子どもの誕生に38万円支給、それでは家賃も払えないと住民
香港(CNN) 香港行政長官が出生率を上げる目的で、新しく子どもが生まれるごとに2万香港ドル(約38万円)を親に支給すると発表した。しかし住民の多くは、この額では1カ月分の住宅費にもならないと訴えている。
香港の李家超(ジョン・リー)行政長官は25日の施政方針演説で、今から2026年まで、子ども1人の誕生につき2万香港ドルを親に支給すると発表した。低い状態が続く出生率を押し上げるためとしている。香港は1人の女性が産む子どもの平均数が過去最低の0.9にまで下がり、安定した人口を保つために必要な2.1を大幅に下回っている。
李行政長官は、住宅購入者の印紙税を15%から7.5%に引き下げるなどの金融政策も併せて発表した。
それでも香港の政策は、やはり出生率の低下に悩む東アジアの他国に比べると見劣りがする。
シンガポール(出生率1.05)は第1子と第2子に8036ドル(約120万円)、第3子には9497ドル(同140万円)を支給している。加えて父親には4週間の育休(産休は最大16週間)が与えられ、無給の育児休暇や働く母親のための税制優遇措置もある。
韓国(出生率0.78)は子どもが1歳になるまで毎月518ドルを支給しており、来年には740ドルに引き上げる。
香港の住民の多くは、アジアで最も高いともいわれる生活費を理由に、2万ドルを支給されてもこれ子どもを増やす気にはなれないとCNNに打ち明けた。
2人目の子どもを考えているという男性は「これでは1カ月分の住宅ローンにも、ガス代や電気代にもならない」と話している。