ガザ北部の病院「戦車で包囲」、地区最大の病院にも爆撃か
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区北部の病院の責任者は10日、CNNの取材に対し、イスラエル軍の戦車により病院が包囲されていると明らかにした。ガザ地区最大の医療施設が「爆撃」を受けたとの情報もあり、ガザの患者や医療従事者が一層大きな危険にさらされているとの懸念が高まっている。
ガザ地区北部にあるナスル病院とランティシ小児病院の責任者はCNNの取材に、周囲を包囲されていると述べ、赤十字に避難支援を要請したと説明。「完全に包囲されている。病院の外に戦車がいる。退避できる状況ではない」と訴えた。
これらの病院に近いシェイク・ラドワン地区やシャティ難民キャンプでは、イスラエル国防軍(IDF)とイスラム組織ハマスの双方によって地上戦闘が報告されている。病院責任者は「ここには電気も、患者に投与する酸素もない。医薬品も水もない」「自分たちの運命がどうなるのか分からない状況だ」と訴えた。
ガザ地区北部ではこれに先立ち、ガザ市内にあるシファ病院など複数の病院の近くで戦闘が報告された。
世界保健機関(WHO)の報道官は10日、シファ病院が「爆撃」を受けたと指摘し、ガザ地区の病院20カ所が「稼働停止中」だと言い添えた。
WHOのハリス報道官はシファ病院がイスラエルの空爆を受けた可能性について聞かれ、「詳しい情報は把握していないが、爆撃を受けていることは分かっている」としている。
一方、イスラエル軍は10日遅く、シファ病院への攻撃はガザ地区内部からの誤射が原因だと指摘した。
イスラエル軍の報道官はCNNに寄せた声明でシファ病院への攻撃に言及。ハマス支配下の当局はIDFの攻撃だと主張しているが、運営システムを検証した結果、「ガザ地区内部のテロ組織による飛翔(ひしょう)体の誤射」であることが示されたと指摘した。