パレスチナの経済規模、数十年前の水準へ後退か 軍事衝突で
(CNN) 国連開発計画(UNDP)は11日までに、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」とイスラエルとの交戦に関連し、ガザと同じ自治区であるヨルダン川西岸の経済は数十年前の状態に後退する可能性があるとの新たな分析結果を明らかにした。
報告書は、戦闘の影響で悲惨な状況にあるガザの経済情勢を描写。UNDPのアラブ諸国担当責任者は、交戦開始以降、貧困にあえぐ住民は30万人急増したと報告した。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、軍事衝突が先月始まった以降、居住先を追われた住民は約150万人となっている。イスラエルは、ガザへの食料や水、医療関連物資の搬入を厳しく規制するほか、燃料の輸送を禁止し、人道危機も生じている。
ガザやヨルダン川西岸の主要な経済指標は、就労率や域内総生産を含め全て下落。戦闘が続く過去1カ月で就労率はガザで61%、西岸では24%落ち込んだとした。
域内総生産は、衝突前の推測数値と比べ4.2%縮小する見通し。金額的には約8億5700万米ドル(約1302億6000万円)相当となる。交戦が2カ月目に入り最後まで続くと仮定した場合、この数字は17億ドルに膨れるだろうとした。域内総生産では約8.4%の損失を意味する。
同責任者はCNNの取材に「紛争を30年間担当しその影響などを調べてきたが、今回ほど短期間でこれほど甚大な打撃はみたことがない」とも指摘した。
ハマスとイスラエル軍の武力衝突はハマスが先月7日、イスラエルへ大規模奇襲を仕掛けたことがきっかけとなった。