ガザ住民に「飢餓の可能性迫る」、食料生産が崩壊 国連警告
(CNN) 国連世界食糧計画(WFP)は19日までに、イスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の交戦が続くパレスチナ自治区ガザ地区の食料事情に触れ、「住民に飢餓が起きる可能性が迫っている」との危機感を表明した。
地区への搬入が禁じられている燃料不足が食料生産と流通を阻害していると指摘。WFPのマケイン事務局長は声明で「ガザにおいて食料や水の供給は事実上ないに等しい」とし、「必要とされる物資のほんのわずかだけが境界線を通じて入っている」との窮状を訴えた。
WFPによると、軍事衝突の開始以降、ガザに到着した必要な食料供給は1割のみの水準にとどまっている。燃料不足でパン生産に深刻な影響が出ており、必要不可欠な人道支援物資の配給もトラックが目的地へ到達できない状況にあるとした。
WFPの今月16日時点での発表によると、居住先を追われたガザ住民約70万人以上に
は緊急用の食料を提供した。今後数週間内には100万人以上への配布を目指すとしたが、必要な物資の確保がエジプトとの国境線にあるラファ検問所のみに頼っている現状を踏まえれば達成できない可能性があるとも述べた。
マケイン氏は「唯一の望みは人道支援を進めるため別の検問所などが開かれることだ」と強調した。
逃れるガザ住民が直面する困窮については国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の中東担当幹部も懸念を共有。UNRWAが運用する避難施設に駆け込んだ住民の数千人が脱水状態や疲労困憊(こんぱい)に陥り、空腹や気持ちの動揺を訴えていると報告した。ガザを最近訪れた際、「一口の水や一切れのパンを懇願していた」子どもたちの姿にも言及した。