起訴も裁判もない拘禁、子どもの拘束 パレスチナ人釈放で明るみに出たイスラエル司法の実態
子どもの拘束
今回の人質交換では、イスラエルが18歳以下の子どもを拘束している実態も明るみに出て、非難の的になった。
ベツェレムによれば、イスラエル矯正局は9月の時点でパレスチナの未成年146人を治安上の理由で拘禁していた。
今回の人質交換で釈放された未成年の大部分は16~18歳だった。しかしイスラエルの釈放対象者リストには、14歳が5人、15歳が7人含まれている。
マラク・サルマンさんは16歳だった2016年、エルサレムでイスラエルの警官を刺そうとしたとして逮捕された。イスラエル当局によると、負傷者はなかった。それでもサルマンさんは殺人未遂の罪で有罪とされ、禁錮10年を言い渡された。控訴によって刑期は9年に短縮された。
サルマンさんは24日、9年のうちほぼ8年の刑期を終えて釈放され、エルサレムでようやく家族との再会を果たした。しかし家族が釈放を祝うことは許されなかった。
「イスラエル当局は午後2時から私たちと一緒にいて、家を取り囲み、お祝いの飾りを全部はぎ取った。彼らは私の娘の釈放の喜びを奪った」。マラクさんの母、ファティマ・サルマンさんはそう訴える。
イスラエルは、ベングビール国家安全保障相が「喜びの表現はテロ支援だ」「勝利を祝うことはそうした人間のくずに力を与える」と発言したことを受け、パレスチナ人の釈放に関連した祝い事を禁止した。ベングビール氏は、アラブ系に対する人種差別をあおり、テロ組織を支援した罪で有罪とされた過去がある。
10月7日以来、イスラエル警察はパレスチナ人に対する摘発を強め、パレスチナ人がガザ地区の市民に連帯を示したり、コーランの一節をSNSに投稿したなどの理由で逮捕されている。