ベネズエラ大統領、隣国ガイアナの一部含む州創設を指示 「新たな地図」も
(CNN) 南米ベネズエラのマドゥロ大統領は5日、「グアヤナエセキバ」と名付けた新たな州の創設を指示した。これに先立つ3日の国民投票では、隣国ガイアナの一部地域の領有に圧倒的多数が賛成し、物議を醸していた。
国民投票の対象となったのは、密林に覆われた石油資源豊富な「エセキボ地域」。ガイアナの国土の約3分の2を占める。ベネズエラは長年エセキボ地域の領有を主張し、現在の国境を定めた1899年の国際仲裁裁定も否定している。
ガイアナは、エセキボ地域の併合に向けた動きを「自国の存続に関わる脅威」と見なす。
ベネズエラのマドゥロ大統領は5日、国会議員らに向けて上記の係争地が含まれた同国の「新たな地図」を提示。同地域の全住民にベネズエラ国籍を付与する方針を表明した。新たな地図は全国の学校と公共施設に配布するとした。
マドゥロ氏はこの他、「グアヤナエセキバ防衛のための高等弁務団」を創設する「大統領令」にも署名した。
さらに国営石油企業PDVSAに対し、エセキボ地域に特化した部門を立ち上げるよう命令。現地の事業の管理に当たるよう指示した。事業自体は直ちに開始するものとした。
ガイアナのアリ大統領は6日、CNNのインタビューに答え、ベネズエラの動きを批判。米国などの同盟国と「防衛協力」を結んでいると明らかにした。米国と交わした協定は非常に緊密な内容で、国務省やホワイトハウスとの連携が盛り込まれているとした。
またブラジルのルラ大統領からもガイアナへの強力な支持を取り付けたと明らかにした。
アリ氏によればブラジルは、マドゥロ氏と協議するためのチームをベネズエラに派遣した。またブラジルは最近、防衛措置としてエセキボ地域と接する国境地帯に軍隊を配備した。同国国防省が明らかにした。