ロシアの電子戦に対抗へ、ウクライナが新たな取り組み
ドローン部隊から電子軍へ
ウクライナはドローンの国内生産量を100倍に増やすことに成功したと説明しており、これが戦場の様相を一変させている。
ドローン増産の立役者となったウクライナのフェドロフ・デジタル変革相はいま、その成功を電子戦で再現したい考えだ。ドローンは電子戦の餌食となることが多いだけに、フェドロフ氏の取り組みはなおさら急務となる。
フェドロフ氏はウクライナの首都キーウからのインタビューでCNNに、「我々は無人航空機(UAV)のみならず電子戦関係の生産も増やしており、電子戦の利用に関し全般的な方針転換を進めている」と説明。「この技術を利用するためのドクトリン全体が我々の側で変化している」と明らかにした。
この取り組みには、単に電子戦を国土防衛のレイヤーとして組み込むだけなく、それを賢く推進することも含まれる。
フェドロフ氏は戦場の「過飽和」に警鐘を鳴らす一方、敵の装備品だけを狙うように遠隔操作可能なEWシステムの設計には支持を示す。
さもなければ、電子戦システムが自分たちに跳ね返り、自軍のドローンを墜落させてしまうリスクがあるという。
英国王立防衛安全保障研究所の2022年11月の報告書によれば、開戦当初のロシア軍では「電子戦による同士討ち」、つまり誤って自軍を標的にしてしまう問題が深刻化し、自軍の戦場通信の破壊を避けるため電子戦の規模を縮小せざるを得なかった。
ただしフェドロフ氏によると、ウクライナにとっていま最も重要な仕事は、敵の電子戦装置の大規模攻撃を行うようにドローンをプログラムする技術を取得することだ。
これが実現すれば、ペトリチェンコ氏のようなドローン操縦士にとってはゲームチェンジャー(戦況を一変させる技術)になる。ペトリチェンコ氏も認めるように、いまのウクライナ軍はいたちごっこでロシア軍の装備品を狩っている状態だ。
現状、ウクライナ軍の最大の希望は、自身が11月上旬に投稿したようなドローン攻撃の映像が拡散することだと、ペトリチェンコ氏は話す。SNSでウクライナ軍の映像がこれほどあふれている今なら、拡散した映像が教科書代わりとなり、戦場でロシア軍のアンテナを特定する助けになりそうだ。