エジプト大統領選、現職のシーシ氏が3選の見通し
(CNN) エジプトで10日、大統領選が始まり、現職のシーシ氏(69)が3選を果たすとみられている。大統領選の日程は12日までで、結果は18日に発表される見通し。エジプトが隣接するパレスチナ自治区ガザ地区での戦争に世界の注目が集まるなか、大統領選については、「見せかけ」との批判の声も上がっている。
専門家によれば、シーシ氏はこの2カ月間、権威主義的な統治と反体制派への弾圧に対する欧米からの批判の声が出ていない状況を享受している。こうした変化は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争をめぐり、シーシ氏が国際舞台で再び外交での存在感を示したためだという。
イスラエルとハマスとの戦争が始まって以降、米国のブリンケン国務長官や欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長、英国のスナク首相、ドイツのショルツ首相など欧米の当局者がエジプトを訪問している。
投票所で指にインクをつける有権者=10日、カイロ/ Mohamed Abd El Ghany/Reuters
英ロンドンにあるカーネギー国際平和基金のH・A・ヘリヤー氏によれば、エジプト政府は歴史的に、アラブ諸国とイスラエルとの紛争に関して、国際社会全般にとって重要な仲介役を果たしていた。
ヘリヤー氏は「イスラエル・パレスチナ問題が多くの政治の場で重要性が薄れていった。それは根本的に欠陥のある方法だったが、それにつれてエジプト政府の地政学的な重要性も低下した」と指摘。パレスチナ問題が重要な議題として復活したことで、エジプトとの良好で包括的な接触が新たに優先されるようになったとの見方を示した。