フランスで6年行方不明だった英少年、帰国後の心境語る 「現実と思えない」
ロンドン(CNN) 6年前に行方不明となり、先ごろフランスで発見された英国の少年、アレックス・バティさんは、英国内にいる祖母の下へ帰ってきたことについて、「現実とは思えない」感覚にとらわれていると語った。
21日付の英紙サンとのインタビューで明らかにした。現在17歳のバティさんは、「寝る時はいつも、目が覚めたらまたフランスにいるような気がしている。イングランドに帰ってきたと言われても、まだあまりピンとこない」と話した。
バティさんが語ったのは、スペインとフランスで過ごした6年間についてだ。6年前の2017年、母親と祖父に連れられて休暇に出かけたバティさんは、そのまま戻らなかった。
英国を離れて最初の数年間は「バカンス」のようなものだったと、バティさんは振り返る。「読書をし、絵を描き、海岸に出かけていた」という。
しかし14歳になると、「自分で自分の面倒を見なくてはならなくなった」。食費と家賃を支払うため、建設現場や解体現場などで働いたという。イングランド行きを考えるようになったのはこの時期からだ。
それぞれの生活スタイルのメリット、デメリットを数カ月間じっくり考えた後、最終的にイングランドに戻るべきだと悟った。このままの暮らしでは、将来にとってあまり良い結果にはならないと判断したという。
バティさんによれば、母親と祖父との暮らしは「実体のない社会生活」に他ならなかった。6年に及ぶ外国暮らしで、できた友人は1人だけだった。
フランスを離れ、イングランドに帰る決意を固めた時、母親に手紙を書いた。母親への愛情と、これまでしてくれたことへの感謝を伝えた。自分について心配させたくないとの思いからだった。
厚手の上着とスケートボード、食べ物を買うための金銭をいくらか持って、バティさんは「真っ暗闇」の中、出発した。「雨もかなり降っていた」。夜間に移動し、なるべく眠らないようにした。睡眠は安全を考慮して、明かりの多い場所でとった。
イングランドに戻った現在は「とても幸せ」で「健康な」状態だという。今も母親と祖父を愛しており、自分のことで心配をかけたくないと話す。
「いなくなって申し訳なく思うが、自分の将来のためにはそうしなくてはならなかった」。サン紙のウェブサイトに投稿した動画で、バティさんは2人にそう訴えた。
「自分の面倒は自分で見られるから、それについては何も心配しなくていい」とも言い添えた。