ガザ南部に広がるハマスのトンネル、CNN取材班が見たもの
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区南部のハンユニス。通りには戦争の爪痕がはっきりと見える。
市内の大きく損傷した建物は、イスラム組織ハマスによる破壊的な攻撃から100日近く続く戦闘の激しさを物語る。ハマスによる昨年10月7日の攻撃では1200人以上が死亡し、イスラエルがガザ攻撃に踏み切るきっかけになった。ハマスが運営する保健省によると、ガザ地区ではその後3カ月あまりの間に、少なくとも2万3357人が死亡した。
国際メディアがガザ地区に入るのは難しく、CNNは死者数について独自に確認できていない。
ただし、地上の惨劇が物語るのは、ハマスを「主要拠点」のガザ地区から追放しようとするイスラエル国防軍(IDF)の取り組みの半面に過ぎない。
IDFによると、地下にはハマスの巨大トンネル網が何キロにもわたって全方向に伸びており、兵士らは現代軍事史上に明確な類例がない任務に直面している。
IDFのダン・ゴールドファス師団長はCNNの取材に対し、ハマスが人質に取った200人以上の一部はハンユニス中心部の地下トンネルに拘束されているとの見方を示した。
ゴールドファス氏によると、一部のトンネルは深さ60メートルに達する。幅は広いものもあれば、狭いものもある。潜入が危険な任務であることはよく知られている通りだ。
兵士らに立ちはだかる最大の問題は、「全ての前線」で展開する戦闘の「多次元的」な性質だとゴールドファス氏は指摘。「我々はあらゆるテロ陣形、あらゆる戦闘員を追い詰めるために地下で作戦行動を取っている」と説明する。
ゴールドファス氏に案内されたCNN取材班は、任務の複雑さをまざまざと思い知らされた。
金属製のはしごと2組の階段を降り、地下約15メートルの深さに到達する。至る所に配線が見える。
CNN取材班は20メートルを超える深さまで降りたところで、複雑なトンネル網に足を踏み入れた。しかし、このトンネルの深さについて聞かれたゴールドファス氏の答えは、「大して深いトンネルではない」というものだった。
この3倍近い深さのトンネルもあるという。
最初に入ったトンネルの側面から枝分かれした通路に入ると、天井が非常に低くなり、真っすぐ立っていることは不可能だった。奥には小さな部屋があり、ドアは金属製のフレームで囲まれていた。
ハマスによって拉致された人質の一部はこうした小部屋に拘束されていると、ゴールドファス氏は主張する。
人質か兵士かを問わず、誰にとっても過酷な場所だが、ゴールドファス氏はハマスを排除するまで戦闘を継続する考えだ。
IDFは今週、ガザ北部にあるハマスの指揮系統を完全解体したと主張。ガザ南部と中部に焦点を移していることを明らかにした。
ゴールドファス氏は任務完了には程遠いことを認識している。