亜南極で鳥インフル蔓延、哺乳類の感染も初確認 英調査
(CNN) 亜南極で感染力の強い鳥インフルエンザが前例のない勢いで蔓延(まんえん)し、哺乳類にも感染が広がっている。英当局が11日に明らかにした。専門家は生態系に重大な影響を及ぼす恐れがあるとして懸念を示した。
英南極研究所(BAS)は昨年10月、南大西洋に浮かぶ英領サウスジョージア島バードアイランドで、ミナミオオトウゾクカモメの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)感染を南極周辺で初めて確認していた。
英動植物衛生局(APHA)の11日の発表によると、サウスジョージア島のゾウアザラシやオットセイからHPAIが検出された。亜南極の哺乳類でHPAIが確認されたのは初めてだとしている。
米疾病対策センターによると、鳥インフルエンザは野生の水鳥の間で発生し、感染した鳥の体液などを通じてほかの動物にウイルスが感染することがある。
BASによれば、ウイルスは南米からの渡り鳥を通じてサウスジョージア島に到達したと思われる。APHAとBASは昨年12月、現地で3週間かけて哺乳類や鳥類の検体を収集。検査の結果、ゾウアザラシ、オットセイ、ミナミオオトウゾクカモメ、ミナミオオセグロカモメ、ナンキョクアジサシのHPAI(H5N1)陽性が確認された。
インフルエンザ動物研究施設ネットワークのOFFLUによると、南極大陸や周辺の島では1億羽以上の鳥類が繁殖し、アシカ・アザラシ6種、クジラ・イルカ・ネズミイルカ17種が生息している。
「もし亜南極で鳥インフルエンザの感染拡大が続けば、脆弱(ぜいじゃく)な生態系が著しく脅かされ、大量の海鳥や海洋哺乳類が危険にさらされかねない」と専門家は危惧する。
APHAによると、バードアイランドのアホウドリとオオフルマカモメのコロニーから採集した検体は陰性だった。ペンギンについてもこれまでのところ平均を超す致死率は報告されていない。