ベネズエラ、隣国ガイアナとの国境付近で軍備増強 衛星写真で確認
(CNN) 南米ベネズエラが隣国ガイアナとの国境付近で軍備を増強していることが衛星写真から判明した。ベネズエラ政府は産油地帯であるガイアナのエセキボ地域を巡り長年領有権争いを続け、最近は外交努力を通じた解決を図ると表明したばかりだった。
衛星写真大手のマクサーが1月に撮影した写真には、国境のクユニ川にあるアナココ島のベネズエラ軍基地で軍備を拡張する様子が写っている。熱帯雨林が切り開かれ、ブルドーザーで整地された複数の区画がある。
写真には新たなインフラや装甲車両も写っている。
基地の滑走路には変化がない様子だが、ヘリコプター1機見られ、滑走路までの道が改修された。
基地の北側でクユニ川を渡る部分では、大きなフェリーがあり、熱帯雨林が大きく切り開かれている。建設資材と見られる大量の物資が道路脇に積まれ、3台の装甲車両も見える。
ベネズエラは先月、軍のSNSアカウントに同地域での軍備拡張を喧伝(けんでん)する動画を投稿。ブルドーザーが整地する様子や、軽戦車や歩兵戦闘車、Mi17輸送ヘリコプターを映像に収めていた。
2021年7月28日のアナココ島基地の様子を撮影した衛星写真/Satellite image ©2024 Maxar Technologies
24年1月13日の同基地/Satellite image ©2024 Maxar Technologies
ベネズエラ軍はX(旧ツイッター)への投稿で、基地拡張で「(ベネズエラが設立を宣言した)『グアヤナエセキバ州』と接する重要な境界地域における国軍の応答システムを改善し、共和国に敵対するいかなる事態も撃退する」としている。
ベネズエラによる係争地での軍備拡張は米シンクタンク「戦略国際問題研究所」が最初に伝えた。
エセキボ地域はガイアナの領土の約3分の2を占める。昨年、ベネズエラの国民投票で同地域にベネズエラの州を設立するかどうかが問われ、賛成多数の結果が出た。ガイアナはこうした動きを併合に向けたステップと捉え、軍事衝突の不穏な空気も漂う中で国家の「存続」を脅やかすものだと批判した。
ベネズエラは昨年12月15日にガイアナと結んだ合意で、両国間の問題で事態悪化を避け、実力によらない解決を目指すことに同意していた。