拠出金止まったUNRWAが「資金難」、ガザの食料支援に黄信号
(CNN) 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は7日までに、同機関が「資金難」に直面しているとし、支援活動の継続で「限界点に差しかかっている」との危機感を表明した。
米ニューヨークでの国連総会の演説で述べた。活動資金の欠乏については、一部のUNRWA職員がパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織「ハマス」などが昨年10月7日にイスラエルへ仕掛けた大規模襲撃に加担していたとする同国の主張を受け、計16カ国が拠出金の提供を停止したことに言及した。
これら16カ国が凍結した資金は「約4億5000万米ドル」に達したと指摘。「UNRWAはガザで戦争が続く特殊な状況の中で財政的な打撃をしのぐ能力はない」とも訴えた。
襲撃に職員が関与したとのイスラエルの主張については、国連の監査部門が独立的な立場から事実認定などの調査を今なお続けていると説明した。
運営資金のやり繰りなどが限界となっている現状を受け、与えられた責務の遂行能力は「深刻に脅かされている」とも強調。パレスチナ人とイスラエル人に和平をもたらす政治的な解決方法を促す迅速な行動が必要となっていると続けた。
さらに、UNRWAに代わる代替組織を求める国連加盟国に対してはパレスチナ難民の自決の権利やさらされている窮境への公正かつ永続的な解決策への希求を損ねない形で行動することを求めた。
この中でUNRWA幹部は5日、活動資金の不足でガザのパレスチナ人への食料支援が今後、可能かどうか不確かな段階に追い込まれていることを明らかにした。
職員は現在も献身的な活動を続けており、住民約110万人に食料を配給し、ガザにいる子どもの8割へのワクチン接種を進めていると指摘。ガザでの戦闘で同僚の162人が命を失ったが、職員たちは非常な強靱(きょうじん)さを示していると強調した。