エクアドルで治安強化を問う国民投票、賛成多数の見通し
(CNN) 南米エクアドルで21日、ノボア大統領が打ち出した治安強化策などの是非を問う国民投票が実施され、賛成票が多数を占める見通しとなった。
選管のデータによると、国民投票で問われた提案11件のうち、主要な治安対策4件を含む9件の案が承認される見通し。
国民投票では推定1300万人が投票所に足を運んだ。初期集計によれば、組織犯罪のパトロールに平時でも軍を投入する案には72%が賛同。憲法が禁じているエクアドル人の外国への引き渡しについて、人道的処遇や死刑の不適用など一定の条件下で認めるとの案には65%が賛成票を投じた。
いずれも憲法の改正が必要になる。国民投票で正式に承認されれば公布と同時に施行されるが、具体的な時期は明らかでない。
また、一部の暴力犯罪に対する量刑を厳格化する案、刑務所内での武器密売防止に向けて軍要員を常時配置する案も、それぞれ大差で承認される見通し。この2件は憲法を改正する必要がなく、国会が承認すれば施行される。
一方で時給制の雇用契約を可能にする案と、投資紛争の解決法として国際仲裁を認める案は、否決が予想されている。
エクアドルでは近年、治安が極度に悪化している。21日には、北西部マナビ県で刑務所の責任者が襲撃を受け、殺害される事件が起きた。
ノボア氏は昨年11月、国内で横行する犯罪の取り締まり強化を掲げ、史上最年少の大統領として就任。犯罪組織を「テロリスト」と呼んで「宣戦布告」し、90日間の非常事態を宣言した。
また今月初め、汚職罪に問われたグラス元副大統領が亡命を求めて逃げ込んだメキシコ大使館への突入作戦を承認するなど、強硬策を断行してきた。
一方警察はX(旧ツイッター)を通し、ギャングのリーダーとして知られるファブリシオ・コロン・ピコ受刑者を22日午前に拘束したと発表した。同容疑者は1月に脱獄し、警察の特殊部隊が行方を追っていた。
刑務当局によると、同時に脱獄した38人のうち、これまでに12人が拘束された。敵対するギャングのリーダー、ホセ・アドルフォ・マシアス受刑者も刑務所から脱走し、警察と軍の要員3000人が捜索に出動している。
コロン・ピコ受刑者の拘束は、ノボア氏にとって国民投票の結果に並ぶ朗報となった。