刑務所で贅沢ざんまい、犯罪組織リーダーの脱獄で無法状態あらわに エクアドル

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脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス受刑者/Ecuadorean Armed Forces/AFP/Getty Images

脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス受刑者/Ecuadorean Armed Forces/AFP/Getty Images

(CNN) ぜいたくなバスルームやクイーンサイズのベッド、ミニ冷蔵庫――。犯罪組織のリーダー、ホセ・アドルフォ・マシアス(通称フィト)受刑者(44)が暮らしていたエクアドル最大級の刑務所の監房は、まるでホテルの一室のようだった。

悪名高い麻薬犯罪組織「ロス・チョネロス」を率いるマシアス受刑者は1月に同刑務所から脱獄。これをきっかけにエクアドルは治安が急激に悪化して、大統領が非常事態を宣言した。

脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス受刑者/Ecuadorean Armed Forces/AFP/Getty Images
脱獄したホセ・アドルフォ・マシアス受刑者/Ecuadorean Armed Forces/AFP/Getty Images

「家よりもいい。まるで王のような生活ぶりだ」。マシアス受刑者の監房や中庭を映した動画の中で、兵士がそう語っている。青々とした芝生の庭には、6羽ほどのペットの闘鶏がいた。CNNは、軍が昨年撮影したこの刑務所の動画を入手した。

マシアス受刑者の監房内で撮影された別の動画には、マシアス受刑者本人を描いた色鮮やかな肖像画が見える。壁画に描かれた「銀か鉛か」という脅しは、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルが広めた言葉。看守に対し、賄賂か射殺の選択を迫っている。

この映像について専門家は、エクアドルの刑務所が全土で影響力を振るう犯罪集団の本拠と化している現実を改めて見せつけたと指摘する。平和だったこの国は、組織犯罪のためにわずか10年足らずのうちに、中南米で最も危険な国の一つと化した。

ここ数年は刑務所での大量殺人が頻発して数百人が死亡。中には遺体が切断された状態で見つかった犠牲者もいる。直近の暴動では複数の刑務所で130人以上の看守や職員が誘拐されたが、その後解放されている。

「犯罪集団は(刑務所を)全て支配している。だからフィトは刑務所であれだけ厚遇されていた。テレビ、インターネット、食事、アルコール、女――。欲しい物は何でも」。エクアドル警察や情報機関の顧問を務めた治安対策専門家のジーン・パウル・ピント氏はそう解説する。

マシアス受刑者が刑務所から脱獄できたのは、そうした自由があったからだと専門家は推定する。

同容疑者が脱獄した刑務所は、コカインの密輸ルートとして使われる港湾都市グアヤキルにある。同地では対立するギャング同士の流血が続いている。

昨年ネットに投稿された音楽ビデオには、グアヤキルの刑務所内と思われる場所で、マシアス受刑者が闘鶏と触れ合う姿が映っている。マリアッチ・ブラボーが歌うドラッグ・バラードにはマシアス受刑者の娘も出演していた。

マシアス受刑者のぜいたくざんまいの刑務所生活、特に厳重警備ではなく中程度の警備の刑務所にいた経緯を巡っては、賄賂が横行していたとの臆測が飛び交っている。

今月ロス・チョネロスとマシアス受刑者に対する制裁を発表した米財務省は、マシアス受刑者について「携帯電話とインターネットを利用できたために、引き続きロス・チョネロスの活動を指揮して対外的な情報発信を継続できた」と指摘した。

軍の関係者はCNNに対し、マシアス受刑者は刑務所内で闘鶏を楽しんでいたと語り、同受刑者の部屋は監房二つ分の広さがあったと明らかにした。女性たちが訪問することも可能だったという。

42歳の誕生日も盛大に祝っていたといい、刑務所内で花火が上がり、監房から大きな音楽が聞こえる映像もある。誕生日画像には、バースデーケーキの前で記念撮影したと思われるマシアス受刑者が映っていた。

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