ガザ南部の病院で392人の遺体発見、子どもや手術着姿で埋められた犠牲者も
(CNN) パレスチナ自治区ガザの当局は25日、南部ハンユニスのナセル病院に集団で埋められていた遺体の捜索を終了し、計392人の遺体を掘り起こしたと発表した。中には手術着を着たままの遺体もあった。
南部ラファで記者会見したガザ民間防衛隊は、イスラエル軍が撤収した後に同病院で発見された遺体のうち、165人は身元が確認され、227人についてはまだ確認できていないとした。
遺体は病院内の遺体安置所前と安置所の裏、透析棟の北側の3カ所に集団で埋められていたという。
イスラエル国防軍は、自分たちがパレスチナ人の遺体を集団で埋めたという情報は虚偽だと主張し、ナセル病院の埋葬地はパレスチナ人によって数カ月前に掘り起こされたとしている。
民間防衛隊は、およそ100人の遺体についてはイスラエル国防軍の作戦が始まる前にナセル病院の墓地に埋葬されたものだったと認めている。
21日に現場を訪れたCNN通信員は、病院の敷地内で殺害された家族の遺体を1月に仮埋葬したという人たちから話を聞いた。イスラエル軍が4月7日に撤収した後に戻ってみると、遺体が掘り起こされて、最初に埋葬したのとは違う場所に集団で埋められていたという。
ガザ民間防衛隊は記者会見でもテレビ画面に画像を映し出した。CNNが見た写真には、ほとんど見分けがつかなくなった同病院の複数の遺体が映っていた。中には腐敗した子どもたちの遺体もあった。
21日と22日に現場を訪れたCNN通信員は、手術着姿の腐敗した遺体を数体目撃した。CNNが見た写真には、病院のリストバンドを着けたままの複数の遺体が写っていた。
病院内で撮影されたCNNの映像はこのほかにも、腐敗した子どもたちの遺体が映っている。
ガザ民間防衛隊は、「ナセル病院の集団埋葬場所に子どもたちの遺体があったことが、ジェノサイド(集団殺害)の犯罪を証明している」と述べ、民間人少なくとも20人が、生きたまま埋められた疑いがあるとした。ただ、まだ捜査中だとしてその根拠は明らかにしなかった。
15歳の息子の腐敗した遺体と対面した男性は、遺体を指さして言った。「私の息子だ。ブラウスで分かる」
ひざまずいて息子の頭を抱きかかえた男性は、「神よ、死んでしまった。死んでしまった」とつぶやき、涙をぬぐった。
ガザ民間防衛隊は、拷問を受けた痕跡のある遺体や、イスラエル軍がビニール袋に入れて3メートルの深さに埋めたため、腐敗が進んだ遺体もあったと説明。「占領軍はプラスチックの覆いを何度も変えることで、ナセル病院での犯罪の証拠を意図的に隠滅した」と主張している。
イスラエル国防軍は、集団埋葬に関する具体的な質問には返答しなかった。
ただ、ガザから数十体の遺体を運んでイスラエルでDNA鑑定を行った後、コンテナに入れて返還したとしている。
パレスチナの民間防衛隊は国連に対し、国際委員会を組織してナセル病院の集団埋葬について調査するよう求めている。
ニューヨークの国連本部で25日に記者会見した事務総長の報道官は、ナセル病院の集団埋葬については国際捜査を呼びかけているとしながらも、どのような方法になるかは現時点で分からないと語った。