スペイン首相、辞任せず 妻の汚職疑惑は「根拠なし」
(CNN) スペインのサンチェス首相(52)は29日、テレビ演説で、辞任しない意向を明らかにした。サンチェス氏はこれより前、裁判所が妻のベゴニャ・ゴメス氏に対する調査を開始したことを受けて、職務を続けるかどうか検討するために公務を取りやめると発表していた。
サンチェス氏は「私は、可能であればより力強く、スペイン政府の首相としての職務を継続することを決意した」と述べた。
サンチェス氏は、ゴメス氏に対するものなど「根拠のない」攻撃に対する戦いを強化すると語った。サンチェス氏は、こうした攻撃について、保守派や極右勢力によるものだと非難していた。
ゴメス氏をめぐっては、極右と関係がある団体「マノス・リンピアス」が汚職疑惑を申し立てていた。裁判所は24日、マノス・リンピアスからの申し立てを受けて、ゴメス氏の影響力の行使や業務上の汚職について捜査を開始すると発表した。
スペイン司法長官の報道担当局によれば、検察は25日、裁判官に対して、捜査への不服を申し立て、捜査を見送るよう求めた。
マノス・リンピアスも同日、今回の訴えは報道に依拠したものだと認めた。マノス・リンピアスは声明で、「そうした記者による情報が真実かどうか判断するのは裁判官だ」と述べた。
スペイン検察当局の情報筋は当時、CNNの取材に対し、検察はゴメス氏に対する捜査の開始を正当化できるような犯罪の兆候を発見できなかったと述べていた。
左派の「社会労働党」を率いるサンチェス氏は2018年に首相に就任。19年の総選挙では勝利したものの過半数には届かず、左派の「ポデモス」と連立を組んだ。23年5月の統一地方選で敗北したことを受けて、総選挙を実施。サンチェス氏は僅差(きんさ)で新たな連立政権を樹立し、23年11月に新たに首相に就任した。