豪政府、Xへの申し立てを取り下げ 刃物事件の動画削除めぐり

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豪政府が動画削除の件でイーロン・マスク氏の所有するXへの申し立てを取り下げた/Apu Gomes/Getty Images

豪政府が動画削除の件でイーロン・マスク氏の所有するXへの申し立てを取り下げた/Apu Gomes/Getty Images

ブリスベン(CNN) オーストラリア政府のインターネット監視当局がX(旧ツイッター)に対し、シドニーの教会で4月に起きた刃物襲撃事件の現場映像を削除するよう求め、連邦裁判所に仮処分を申し立てていた問題で、同当局は5日、申し立てを取り下げると発表した。

問題の動画には、礼拝中に司教が刺される瞬間が映っていた。

Xは同国のオンライン安全法に基づいて動画を削除するよう命じられたが、国内向けに表示される一部のURLを削除するにとどまり、ほかのサイトからは動画を自由に閲覧できる状態が続いた。

ネット監視当局のトップ、グラント電子安全コミッショナーは、Xが命令に完全に従っていないとして、裁判所に仮処分命令を下すよう求めていた。

グラント氏は5日、この申し立てを取り下げ、独立審査機関の行政不服審判所に一任すると表明。「国民全体、特に子どもたちのネット上の安全のために、最善の結果が得られる」道を選んだと説明した。

同氏がXに求めていたのは、オーストラリア国内だけでなく、国外からも動画を閲覧できないようにする措置だ。

これに対し、Xを所有する起業家イーロン・マスク氏は、選挙で選ばれていない当局者の行きすぎた要求を認めれば、他国からの削除要求の前例になる恐れがあると反発。Xへの投稿で、「ある国がすべての国に向けたコンテンツを検閲できるとなれば、ネット全体を支配しようとする国を止めるすべがなくなる」との主張を展開した。

Xは5日の声明でグラント氏の決定を歓迎し、「言論の自由の勝利」を宣言した。

専門家はオーストラリアの取り下げを「合理的」な判断と評したうえで、ネットの規制には単独の国家でなく、世界全体で取り組む必要があることが示されたと指摘している。

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