DV被害後を絶たず、「男性の行動変容」担当の州政務官任命 オーストラリア
(CNN) オーストラリアでドメスティックバイオレンス(DV)に対して行動を求める女性の声が強まる中、ビクトリア州が男性の行動の改善を目指す政務官を任命した。同国首相はこの問題を「国家の危機」と位置付けている。
ビクトリア州のジャシンタ・アラン州首相は29日、初代「男性の行動変容担当政務官」にティム・リチャードソン下院議員を任命する人事を発表した。
リチャードソン氏はインターネットやSNSを通じて男性の女性に対する態度に影響を及ぼし、相手を尊重する関係を築くことに力を入れると表明。「簡単な仕事ではないが、重要だ」と強調した。
リチャードソン氏は「ビクトリア州を女性や子どもにとって安全な場所にしなければならない。ビクトリア州の女性が男性の手にかかって死亡する悲劇を終わらせるよう努める」とX(旧ツイッター)に書き込んだ。
女性の犠牲者数を集計している団体によると、オーストラリア全土で今年に入って殺害された女性は31人に上る。昨年は64人が殺害された。
西オーストラリア州パースでは数日前、母子が射殺される事件が発生。容疑者の男は、元パートナーの女性と娘を探そうとしていたとされる。容疑者の娘は「父は私たちを見つけられなかったので、彼女の親友と親友の娘を殺害した」と述べている。
4月にはシドニーのボンダイ郊外にあるショッピングセンターで、女性5人が刃物を持った男に殺害される事件が発生。警察は防犯カメラの映像から、男は明らかに女性を狙っていたと断定した。別の事件では、28歳の女性がパートナーの男に殺害された。男はそれ以前にこの女性に対する強制性交やストーカー行為の罪に問われながら、保釈されていた。