ヒズボラ指導者、キプロスも「標的」に イスラエルと戦争始まれば
ベイルート(CNN) レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師は19日、イスラエルとレバノンの間で戦争が勃発した場合、地中海の島国キプロスが標的になると警告した。
ナスララ師はテレビ演説で、キプロスがイスラエル軍に対して空港や基地を開放するのであれば、「キプロスもこの戦争の一部となるだろう」と述べた。イスラエルは前日、ヒズボラとの「全面戦争」に近づきつつあると警告していた。
ナスララ師がキプロスを威嚇するような発言をしたのは今回が初めて。キプロスは地中海に位置し、欧州連合(EU)の加盟国。レバノンとは約200キロ離れている。キプロスは2014年以降、イスラエルと共同の軍事演習を実施している。
ナスララ師の発言はイスラエルの警告に対する激しい反発の一部。ナスララ師はヒズボラの能力が向上していると自負し、「レバノンに戦争が押し付けられた」場合には、イスラエルの「柱を揺るがす」と威嚇した。
イスラム組織ハマスが昨年10月にイスラエルへの攻撃を行い、その後、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ地区で軍事作戦を実行して以降、ヒズボラとイスラエルとの間の緊張が高まっている。
キプロスのフリストドゥリディス大統領はナスララ師の発言をめぐり、キプロスは紛争に関与していないと指摘。「キプロスは問題の一部ではなく、解決策の一部だ」と訴えた。フリストドゥリディス氏は、ガザに支援物資を搬送するための「人道回廊」で示されたように、キプロスの役割はアラブ諸国だけでなく国際社会からも認められていると述べた。