「ゼレンスキー氏妻が高級車購入」の偽動画、背後にロシア系工作網か
ロンドン(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領の妻オレナ・ゼレンシカ氏が、訪問先のパリで高級車を購入したという偽情報の動画がインターネット上に投稿された。ロシア系の情報工作網の関与が疑われる。
人工知能(AI)で作られた「ディープフェイク」動画とみられ、パリ市内にある高級車ブランド「ブガッティ」ディーラーの従業員と称する架空の男性が登場。先月7日にゼレンスキー氏とともにパリを訪れていたオレナ氏が、ブガッティの新型「トゥールビヨン」を450万ユーロ(約7.8億円)で購入したと話している。
専門家によると、映像のカットや奇妙な抑揚、唇の動きなどにディープフェイクの特徴がみられるが、X(旧ツイッター)の閲覧数は24時間で約1800万回に達した。
ブガッティは2日、偽情報工作を非難する声明を発表。動画の偽造とその使用、なりすまし、名誉毀損(きそん)の被害を申し立てる法的措置を取ったことを明らかにした。
動画が最初に掲載されたのはフランス語のAI生成サイトだ。CNNの分析によると、このサイトは先月22日に開設されたばかりで、名称にはフランス語特有のアクセント記号が付いていない。AIにフェイクニュースを作らせている形跡がみられ、問い合わせ先は見当たらない。
米クレムソン大学の専門家、ダレン・リンビル教授は、ロシア系の情報工作網が昨年8月以降、ウクライナを標的に展開してきた作戦に共通する手口だと指摘する。昨年9月には、オレナ氏が米ニューヨークで110万ドル(約1.8億円)の宝飾品を購入したとのフェイクニュースも流れた。
工作網の規模や情報源からみて、背後にロシア当局の支援がある可能性が指摘されている。