上海協力機構、きょう開幕 ベラルーシ加盟へ 中ロが首脳会談

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中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領=5月、中国・北京/Alexander Ryumin/Pool/AFP/Getty Images/File

中国の習近平国家主席(右)とロシアのプーチン大統領=5月、中国・北京/Alexander Ryumin/Pool/AFP/Getty Images/File

香港(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領は3日、同日から始まる上海協力機構(SCO)の首脳会議に出席するため中央アジア・カザフスタンの首都アスタナを訪問した。両氏は今年2度目となる首脳会談も行う予定。今回の首脳会議では、ベラルーシの加盟が正式に決定されるとみられている。

インドのモディ首相はSCOの方向性について一部加盟国が不安を抱いていることを指摘し、この会合を欠席する。

SCOは2001年、テロと闘い、国境警備を強化することを目的として中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンによって設立された。同機構は、中国とロシアが米国の「覇権主義」と見なすものに対抗し、国際的な体制を自分たちに有利に作り変えるという共通の野心に沿って近年成長している。

SCOは17年、インドとパキスタンを迎え入れ、最初の拡大を遂げた。23年に加盟したイランに加え、ベラルーシが新たに加われば、加盟国は10カ国に上ることになる。これは世界人口の40%以上、世界経済の約4分の1を占める規模だ。アフガニスタンとモンゴルの2カ国がオブザーバーを務め、ミャンマーからトルコ、アラブ諸国まで12カ国以上の「対話パートナー」がいる。

高まる野心

SCOは国際的な認知度と経済的影響力が増すにつれ、地政学的な野心も拡大している。

ドイツのメルカトル中国研究所(MERICS)の中国外交政策専門家、エバ・ザイベルト氏は、イランとは異なり、ベラルーシの加盟から得られる経済協力や安全保障協力のようなものはあまりないため、同国の加盟はむしろ地政学的な動きだと主張する。

ウクライナ侵攻が3年目に突入する中、プーチン氏にとってSCOは重要な外交手段となり、国際的に孤立していないことを示すプラットフォームにもなっている。一方、中国政府は対米関係が急速に悪化するなか、SCOが反欧米組織とみなされることを気にしなくなってきている。イランの加盟によってこうした認識は深まるばかりだという。

ザイベルト氏は「これらすべての国が加盟することで、中国とロシアは自分たちの世界観を支持する人が大勢いる(ということを示したいのだ)」と話す。

その共有された世界観ではユーラシア大陸に米国の居場所はない。

プーチン氏は先ごろ、外務省高官との会談で、SCOのような既存組織の力を借りて「ユーラシアにおける二国間および多国間の集団安全保障の新システム」を構築するという将来的展望と「ユーラシア地域における外部勢力の軍事的存在を段階的に廃止する」という長期目標を掲げた。

プーチン氏によれば、5月に会談した習氏はこの考えについて中国の世界安全保障構想の基本原則を補完し、それと一致するものであると指摘したという。

摩擦と不安

全米アジア研究所のシニアフェローであるベイツ・ギル氏はこの構想を、中国とロシアにとって今回のSCO首脳会議で発する最も重要なメッセージになるだろうと語る。

一方で同氏は、ベラルーシの加盟は組織に重大な疑問符をつけることになるとみる。

「ベラルーシ政権の性質と、ロシアによる国際法の甚だしい違反とウクライナ侵攻に対するベラルーシの支持を考えると、組織の評判、正当性、権限についてあらゆる問題と新たな疑問が生じる」(ギル氏)。

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