プーチン氏、中国との関係強化に期待感 首脳会談に向け
香港(CNN) ロシアのプーチン大統領は16日から中国を訪問し、習近平(シーチンピン)国家主席と会談する。訪中を前にした中国国営新華社通信とのインタビューで、両国間の関係強化に期待感を示した。
プーチン氏は新華社通信が15日に伝えたインタビューの中で、ロシアと中国による「主権強化、領土一体性の保全、両国の安全保障」に向けた連携、協調という「素晴らしい展望」を掲げ、習氏との会談で「産業、ハイテク、宇宙開発、核エネルギーの平和利用、人工知能(AI)、再生可能エネルギーやそのほかの技術革新部門」での協力強化を図ると述べた。
ただし中国側には、習氏が進めるプーチン氏やロシアとの関係強化がどこへ向かうのか、疑問を投げ掛ける見方もある。
国際社会で孤立するロシアに対し、中国は今も欧米諸国から一目置かれる存在であり続けている。専門家によれば、そんな中国の立場が、ロシアとの関係によって弱まることも懸念される。
中国では今月、SNS「微博(ウェイボー)」にロシアの極右思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏を名乗るアカウントが開設されて波紋を呼んだ。ロシアに対し、19世紀から支配する極東の領土返還を求めるコメントも書き込まれて、数百件の「いいね」が集まった。
領土問題などをめぐる両国間の歴史的な不信感を考えると、習氏とプーチン氏の親密な関係は、欧米との緊張という共通の利害に基づいた取引にすぎず、少なくとも双方の政府当局者の間に信頼関係はないとも考えられる。
だが中国の現体制下で、習氏の親ロシア路線に異議を唱える余地はほとんどなさそうだ。
国際秩序の多極化を狙う習氏は、昨年のロシア訪問でプーチン氏に「これまでの100年間に起きなかった変化が今起きようとしている」「私たちはともに、その変化を推し進めるべきだ」と宣言した。今週の首脳会談は中ロ間の連携を強調するとともに、両氏がこの宣言の行方を見極める機会にもなる見通しだ。