キーウの小児病院などにミサイル攻撃、死者37人
ウクライナ・キーウ(CNN) ウクライナで8日朝、首都キーウの小児病院などがロシア軍のミサイル攻撃を受け、救急当局によると少なくとも計37人が死亡、170人が負傷した。
当局の発表によると、朝のラッシュ時にキーウと東部のドニプロ、スラビャンスク、クラマトルスク、中部クリビリフに大規模な攻撃があった。
キーウ市当局が8日発表した最新情報によると、市内の死傷者は27人。この中にはオフマディト病院での死者2人、負傷者少なくとも16人が含まれているという。
オフマディトはウクライナ最大の小児病院で、全国から重症患者を受け入れてきた。ウクライナ議会が任命する人権オンブズマン、ドミトロ・ルビネツィ氏によると、がんや血液疾患に対応し、年間約7000件の手術を手がけていた。
現場の映像には、病院から煙が立ち上るなか、警察と治安当局、ボランティアががれきをかき分けて救出作業を急ぐ場面が映っている。
リャシュコ保健相によると、集中治療室(ICU)と腫瘍(しゅよう)科病棟、手術室が損壊した。病院からは600人以上が避難し、このうち100人は別の病院へ移送された。
キーウ市内ではさらに民間医療機関も攻撃を受け、スタッフ5人と患者2人が死亡したとされる。
ロシア軍は8日、ウクライナの軍産施設と空軍基地を長距離精密兵器で攻撃したと発表した。
オフマディト病院の看護師によると、手術室には当時2人の子どもがいて、処置が完了した後すぐに地下シェルターへ運ばれた。別の看護師はCNNに、2歳児の手術中に攻撃があって停電し、懐中電灯で縫合を済ませたと話した。手術台に火がついたとの情報もある。
攻撃後に現場を訪れた国連チームのメンバーは、病院スタッフが公園や路上にベッドを設置し、子どもたちのがん治療を続けていると報告した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は報復を約束し、小児病院への攻撃をめぐる国連安全保障理事会の緊急会合を要請した。会合は9日に開かれる。
ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)に、「がれきの下敷きになっている人々がいる」「アパートやインフラ、小児病院が被害を受けた」と投稿した。
ウクライナ空軍の司令官は、8日にロシア軍が撃ち込んだミサイル38発のうち、30発を撃墜したと発表。ロシア軍が使ったのは弾道、巡航、誘導ミサイルや空中発射型ミサイルだと述べた。
ウメロウ国防相は防空システムの強化が必要だと訴えた。
検事総長は8日、同日受けた攻撃の証拠を国際刑事裁判所に提出した。
この攻撃について、フランスは「ロシアによる戦争犯罪のリストに加えるべき」と主張。英国のスターマー首相も小児病院への攻撃を「下劣極まりない行為」と非難した。国連児童基金(ユニセフ)のラッセル事務局長は、「ウクライナの子どもたちにとって安全な場所はないという残酷な事実が改めて示された」と指摘した。
世界保健機関(WHO)によると、ウクライナではロシアの侵攻開始以降、医療機関への激しい攻撃が1600件を超え、計141人が死亡している。