英政府、ネタニヤフ氏への逮捕状請求に反対せず 方針転換
(CNN) 英国政府は27日までに、国際刑事裁判所(ICC)がパレスチナ自治区ガザでの戦争犯罪の疑いでイスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状の請求を行うことに反対する姿勢を撤回した。
英国の国内通信社「PA」が伝えた。英政府の報道担当者は「(逮捕状発行への反対は)前政権の提案だが、総選挙前にはその手続きはとられていなかった」と指摘。労働党の現政権は「裁判所が判断すべき問題との長きにわたる立場にのっとって(前政権の方針を)追求しない」と続けた。
英国では今月初旬の総選挙で労働党が保守党を破って勝利し、新たな政権を樹立していた。ICCのカーン検察官は今年5月、ネタニヤフ首相、イスラエルのガラント国防相やイスラム組織「ハマス」のガザ地区最高指導者のシンワル氏ら幹部3人に戦争犯罪や人道犯罪の罪で逮捕状を請求する方針を示していた。
逮捕状が発行されれば、ネタニヤフ氏らが英国やドイツなどICCに加盟する124カ国に渡航した場合、逮捕される恐れも出てくる。
一方で、イスラエルや米国はメンバーではない。パレスチナは2015年に加わっており、ICCはガザ、東エルサレムやヨルダン川西岸に裁判権が及ぶと主張している。
ただ、ICCは逮捕状の請求を認めるかどうかの決定を下す前に、加盟国などからの提案を考慮する手続きを済ませなければならない。
労働党政権のスターマー首相は人権問題の弁護士出身。首相はイスラエルによるガザ侵略に厳しい対応を示すよう支持者らから迫られていた。
ICCの逮捕状の請求にはイスラエル議会が反発し、ネタニヤフ首相は「政治的な暴力行為」と切り捨てていた。