250台のミサイル発射装置、韓国との境界に配備 北朝鮮
ソウル(CNN) 北朝鮮は5日までに、新たに250台の戦術弾道ミサイル発射装置を韓国との境界に送り込んだと発表した。北朝鮮の最高指導者、金正恩(キムジョンウン)総書記による韓国への敵対姿勢の最新の事例となった。
朝鮮労働党機関紙の労働新聞に掲載された写真には、金総書記の前に何十台もの緑色の大型軍用車両が整然と並んでいる様子が捉えられている。ミサイル発射装置は車両をベースにしたものとみられる。
4日夜に式典が行われ、車両が通過し、花火が空に打ち上げられると大勢の見物人が歓声を上げた。
金総書記も本人が出席してミサイル発射装置の引き渡しを監督した。国営メディアによれば、金総書記は演説のなかで、新しいミサイル発射装置は北朝鮮の科学技術によって建造されたと主張した。
金総書記は「対話か対立かは我々の選択だが、我々が徹底的に準備しなければならないのは対立だ」とし、主眼となるのは北朝鮮が一貫して維持してきた対米政策だと言い添えた。
金総書記はまた、米国が北朝鮮からの度重なる警告を無視して地域の安全を損なおうとし続ければ、米国の安全に悲惨な結果がもたらされることを北朝鮮は明確にするとした。
英シンクタンクの国際戦略研究所で防衛・軍事分析を担当するジョセフ・デンプシー研究員は5日、式典でミサイルが装填(そうてん)されていたかどうかを評価するのは難しいものの、実用性と安全性を考えると非論理的であり、装填はされていなかった可能性が高いと語った。
デンプシー氏は、今回のミサイル発射装置の設計などが短距離弾道ミサイルの「火星11D」に関連しているとの見方を示した。北朝鮮は火星11Dに戦術核弾頭を搭載できると主張している。
デンプシー氏は、250台の発射装置が全て機能していると仮定して、北朝鮮がそれに相当する1000発あるいはそれ以上のミサイルを生産したかどうかは不明だと指摘。少なくとも北朝鮮がこれに近い数の戦術核弾頭を保有する可能性は非常に低いと見方を示した。