タイのセター首相を解任　憲法裁が判断

バンコク（ＣＮＮ） タイの憲法裁判所は１４日、セター首相が前科のある弁護士を入閣させたのは違憲との判断を下し、同氏の解任を命じた。同国の政治的混乱はさらに深まることが予想される。

憲法裁の判事９人のうち、５人が解任を支持した。セター氏はこの人物が道徳性を欠いていることを十分に承知していたと判断された。

親軍派の議員４０人が５月、セター氏の解任を求めて憲法裁に訴えていた。

セター氏はこれまで違憲行為を否定し、政治アナリストらも憲法裁が同氏を支持する判断を下すと予想していた。

同氏は記者会見で、首相としての務めを果たすことに最善を尽くしたと語り、判断を受け入れると表明。次期政権が自身の政策を引き継ぐかどうかは定かでないと述べた。

セター氏が所属するタクシン元首相派の与党「タイ貢献党」主導の連立政権が今後、新たな首相候補者を擁立し、国会で指名選挙が実施される見通し。同党の党首でタクシン氏の次女ペートンタン氏や、アヌティン内相、親軍政党の党首らの名前が挙がっている。

憲法裁は先週、昨年の総選挙で第一党となった革新系の「前進党」に解党を命じ、党幹部に１０年間の政治活動禁止を言い渡していた。

タイではこれまでも、改革を訴える政党が軍、王室を中心とした既存勢力と衝突してきた。過去２０年の間に数十人の議員が政治活動を禁止され、政党は解散に追い込まれ、複数の首相がクーデターや司法の判断で失職した。