米アップル、プロモ動画を取り下げ タイで物議呼ぶ
(CNN) 米IT大手アップルが先ごろ公開したプロモーションビデオを取り下げたことがわかった。このプロモーション動画はタイを舞台にしたものだったが、SNSでは、動画の中で描かれているタイについて「非現実的」「時代遅れ」などの批判の声が上がっていた。
批判の声が出ているのはアップルが7月18日にユーチューブで公開した10分間の動画。「Apple at Work ― The Underdogs」と名付けられたプロモーション動画の第5弾で、公開から500万回以上視聴されていた。
だが、今月2日には動画が視聴できなくなっていた。
アップルの広報担当はCNNの取材に対し、今回の動画が公開されていないことを確認した。
広報担当は「『The Underdogs』シリーズの第5弾では、地元の制作会社と協力してタイを舞台にした動画を制作しました。我々の目的はタイの楽観主義や文化を称賛することでしたが、今日のタイの活気を十分に表現できなかったことをおわびします」と述べた。
内容は「Underdogs(負け犬たち)」として知られる4人の登場人物がアップルの端末やソフトウェアを駆使して職場での危機を乗り越えるというもの。
最新のエピソードでは、タイが仕事の中心地となっている。登場人物らは大物顧客の困難な要求を満たすため、100万個のオーダーメードの箱を生産できる工場を探そうと、電車やトゥクトゥク(三輪タクシー)を駆使して時間との戦いを繰り広げる。
動画の公開後、SNSには不満の声があふれた。タイの現代的な側面を示すことに失敗しているとの指摘が出たほか、多くの人は今回の動画について、セピア色で古風にみえるよう編集されており、カメラは粗末な建物に焦点を当てていると主張していた。
ただ、一部では支持する声もあった。セター首相の報道官は、動画公開後、メディア向けの声明で、「世界中の人々をタイに呼び込み、タイで働き、タイで暮らしてもらう磁力としてのソフトパワーを推進する政策を実施し、タイを世界の人々にとって重要な目的地とすることで、首相は、タイの潜在的な力の発展を継続的に支援してきた」と述べていた。