メルボルン市が電動キックボード全面禁止、事故や苦情増加 オーストラリア
(CNN) オーストラリア南東部ビクトリア州のメルボルン市が、電動キックボードの全面禁止に踏み切った。効率的で持続可能な移動手段として各国の大都市で普及した電動キックボードだが、事故が相次いで苦情も増え、規制強化を求める声が強まっている。
メルボルン市議会は13日、電動キックボードを運営するライムおよびニューロンの2社との契約打ち切りを決議し、30日以内にキックボードを撤去するよう通告した。
メルボルンのニコラス・リース市長は14日の記者会見で、「メルボルンの歩道の混乱を終わらせ、我々の街を再び安全にするチャンス」と語っている。
ビクトリア州は2022年、電動キックボードを「利用しやすく環境に優しいコスト効率的な移動手段」と位置付けて、2年間の試験運用を開始。これによって二酸化炭素排出量を減らすことができたと州政府は発表していた。
一方で、事故の件数や負傷者も増加した。
王立メルボルン病院は23年12月、電動キックボードに関連して256人が負傷し、うち1人は衝突事故で死亡したと報告。市に対して安全対策の強化を求めていた。
電動キックボードは州と市の争いに発展する様相を見せている。
ビクトリア州のジャシンタ・アラン州首相は14日、市の決定に対して州が介入する可能性があると表明した。
電動キックボードの禁止や規制強化に踏み切る都市はメルボルンにとどまらない。
フランスのパリは23年、電動キックボードのレンタル禁止を決議した。
デンマークのコペンハーゲンは20年に禁止したものの、翌年撤回して規制を強化した。スペインのバルセロナは16年から歴史地区での使用を禁止。英ロンドンでは私物の電動キックボードで公道を走行することを禁止している。