レバノンの医療施設、3分の1が閉鎖 WHOが警鐘
(CNN) 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は、レバノン国内医療施設の約3分の1に相当する100以上の施設が閉鎖を余儀なくされたと述べた。イスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘が続くなか、イスラエルはレバノンに対し激しい爆撃を展開している。
テドロス氏は、レバノンの人々と主権を支援する国際会議に出席し、同国の医療制度への壊滅的な影響を強調した。
同氏によると、過去1年間の戦闘でレバノンでは2500人超が死亡し、1万2000人以上が負傷している。死傷者の大半はイスラエルが9月17日に攻撃を激化させてから発生しているという。
医療従事者は対応に苦慮している。病院はひどく緊迫し、攻撃の標的になっている。120万人以上が避難し、水と衛生状態の悪化により、レバノン北部ではコレラの症例が報告されるなど、状況は深刻だ。
WHOは過去1年間にレバノンの医療施設への攻撃を53件記録。これらの攻撃により、患者とスタッフ99人が死亡した。こうした医療施設の危機は、病気の発生や治療が行われないことでの合併症といった重大なリスクをもたらしている。
テドロス氏は「医療施設と医療提供者は常に保護されなければならない。これを怠ることは国際法違反だ」と述べ、レバノンの医療制度を保護するための即時の行動を呼び掛けた。
フランス外務省によると、この会議は「国際社会を結集してレバノンの人々の保護と緊急救援の必要性に対応し、レバノンの機関、特に国内の安定を保証するレバノン軍の機関を支援する方法を特定する」ことを目的としてフランス政府がパリで主催した。