ガザ支援トラック97台が略奪の被害、「法秩序が崩壊」
(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区南部で、支援トラック約100台が略奪の被害に遭った。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は「最悪級」の事件と形容している。
UNRWAによると、UNRWAと国連世界食糧計画(WFP)の食糧支援物資を積んでケレムシャローム検問所からガザに入ったトラック109台のうち、97台が略奪によって失われた。
ドライバーは銃を突きつけられて積み荷を下ろさせられ、支援スタッフは負傷して、車両は激しく損傷したという。
原因は「法と秩序の崩壊」にあるとUNRWAは述べ、「イスラエル当局のやり方」のせいで「危険な環境」がつくりだされたと非難した。
ガザへの支援物資の輸送は、さまざまな地点でトラックの遅れが頻発し、略奪されたりエスカレートする攻撃に遭ったりして、ますます困難になっているという。
「市民秩序の完全な崩壊については以前から警告していた。4~5カ月前までは地元の人たちが車列を先導していたが、それが完全になくなった」。ジュネーブで18日に記者会見したUNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長はそう語った。
イスラム組織ハマスが運営するアルアクサ・テレビは18日、ガザ内務省の話として、支援トラック略奪にかかわった20人あまりをガザ治安部隊が殺害したと伝えた。
ガザ地区ではイスラエルの攻撃によって民間人の犠牲者が増え続けている。
地元保健当局によると、18日にはガザ北部を中心に少なくとも50人が、イスラエルの空爆で死亡した。
犠牲者にはガザ北部ベイトラヒアで死亡した一家族の17人も含まれる。死亡したのは当時カマルアドワン病院で勤務中だったハニ・バドラン医師の家族で、同医師の子どもたちや、同医師が出産を手伝い、18日に出生を届けるはずだった新生児も含まれていた。