継母によって20年監禁か、プリンター用紙と手指消毒液を使い脱出した方法とは 米男性
20年間男性を監禁か、警察署長「人類に対する最悪の扱い」 米
(CNN) 被害者の男性(32)が後に語ったところによると、部屋の扉は両側にベニヤ板が打ち付けられ、施錠された状態だった。外に出られないようにするためだ。
長年、サンドイッチ二つと少量の水しか与えられない日が続いたと、男性は振り返る。サンドイッチの具は卵かツナサラダ、ピーナツバター。監禁されていた場所は物置のような空間だった。
だが、男性にはある計画があった。
プリンター用紙を着火素材、手指消毒剤を燃料に用い、ライターで点火した。
米コネティカット州ウォーターバリーの警察によると、2月17日、住宅火災の通報を受けた緊急要員が現場に駆けつけた。
現場にいたのは継母の女性と、その義理の息子の男性だった。
警察によると、継母のキンバリー・サリバン容疑者(56)は屋外に無事避難していたという。
男性は煙を吸い込み、炎にさらされていたことから、助けが必要な状態だった。
男性はまもなく警察の調べに対し、自身が故意に火を付けたことを認めた。
20年近く続いた拘束から自由になりたかったと、男性は証言。CNN提携局WFSBが入手した逮捕状には「監禁、虐待、飢餓」が続く地獄のような生活が記されている。
ウォーターバリー警察のトップは13日の記者会見で「法執行当局に33年間勤めているが、これほどひどい非人道的な扱いを見たことはない」と述べ、火災後の捜査で判明した事件の全貌(ぜんぼう)を説明した。
「事件について語るのは今でも本当につらい」と警察トップは語る。家族や保護者、後見人の立場にある人からこうした扱いを受けたことを思い、戦慄(せんりつ)を覚えたという。
警察によると、サリバン容疑者は12日に逮捕され、暴行、拉致、虐待などの容疑がかけられている。一方、弁護士は容疑について「全くの事実無根」と主張した。
弁護士は「彼は部屋に閉じ込められていたわけではない。サリバン容疑者が何らかの拘束を行っていた事実はない」と述べ、「彼女は食事も住む場所も提供していた。容疑に驚いている」としている。
複数の記録から判断すると、すべての発端は約20年前だ。
「普通の幼少期」にしか見えない
逮捕状に添付された宣誓供述書によると、被害者の男性は幼い頃、空腹を覚えると夜間に部屋を抜け出し、飲食物を探しに出かけていた記憶がある。
小学校4年生までには他人に食べ物をねだるようになっていたと、男性は説明する。盗みを働いたり、ゴミ箱から食べ物を拾うこともあった。
家の中で食べ物の包装が見つかったのをきっかけに、部屋に閉じ込められるように。警察の聴取によると、最終的に継母は少年を学校から退学させ、部屋からの外出が許可されるのは雑用時のみになった。
友人との付き合いは認められず、唯一許された楽しみはハロウィーンだけだった。最後に「トリック・オア・トリート(<お菓子をくれないといたずらするぞ>の意味)」の声を掛けて回ったのは12歳の時で、消防士の仮装をしていた。
男性の異母姉妹2人には友人がいたが、友人たちが家に来ることは許されなかった。
「私の存在は生涯を通じて秘密にされてきた」と男性は警察に語った。